wakaranami

 ばしゃんと落ちてきたイオを笑いながら体を起こした。イオはとっさに肘鉄を打ち込むが、僕には痛くなかった。何かが触れたことはわかるが、痛くも痒くもない。



『コラァ! 人が慰めてやろうと来てやったのにひどい! っていうかこっちが痛いんだけど……』


 腕の中でびしょびしょのイオは、僕に向かって吠えてから、痛みに気づいて肘をさすった。

「そんなに硬いの、僕」


『カチコチだよ。だいたい、昨日あんなに撃ち込まれてもびくともしなかったじゃん』


「やっぱ当たってたんだ」


『……そこまでわからないの?』


「うん、わからない」



 フチをあらわにし始めた太陽が、徐々に世界を映し出していく。そのおかげで、僕は自分の姿を水面でみることができた。右目だけに大きなレンズの嵌った顔と、卵のような胴体。ハムのように太い手足。それらが素焼きの陶器のような肌に包まれている。



 右手と左手の大きさも違う。左手は腕にふさわしい大きさで、イオの顔より二周りくらい大きい。その反対に、右手はイオの手よりちょっと大きいくらいだ。

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