wakaranami
ばしゃんと落ちてきたイオを笑いながら体を起こした。イオはとっさに肘鉄を打ち込むが、僕には痛くなかった。何かが触れたことはわかるが、痛くも痒くもない。
『コラァ! 人が慰めてやろうと来てやったのにひどい! っていうかこっちが痛いんだけど……』
腕の中でびしょびしょのイオは、僕に向かって吠えてから、痛みに気づいて肘をさすった。
「そんなに硬いの、僕」
『カチコチだよ。だいたい、昨日あんなに撃ち込まれてもびくともしなかったじゃん』
「やっぱ当たってたんだ」
『……そこまでわからないの?』
「うん、わからない」
フチをあらわにし始めた太陽が、徐々に世界を映し出していく。そのおかげで、僕は自分の姿を水面でみることができた。右目だけに大きなレンズの嵌った顔と、卵のような胴体。ハムのように太い手足。それらが素焼きの陶器のような肌に包まれている。
右手と左手の大きさも違う。左手は腕にふさわしい大きさで、イオの顔より二周りくらい大きい。その反対に、右手はイオの手よりちょっと大きいくらいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます