この嘘つき野郎ども!!

 僕はざっと彼らを見渡した。視線に呼応するように、彼らの顔にも緊張が走る。


 さっきまで、ここは駅前の喫煙所のような有様だった。疲れ果てた兵士たちがタバコを吸い、だらけきり、和気あいあいとくつろぐ場所だった。


 しかし今は、ここも戦場になってしまったかのような緊張感だった。


 名前も知らない彼ら。仲間だと思っていたカーキ色。


 種族は違えど我らは同胞。


 全部嘘っぱちだ。ずっと嘘をついていやがったんだ!



「君がゴーレムだと誰も言わなかったのは、誰もが、自分の体のことくらいわかるだろう、そう思い込んでいたからだ。事実として、私もそう言われるまでわからなかった。そうだろう、ローライン」


 ローラインは紙巻きタバコの煙をフーッと吐き出すと、そうです、と小さく頷いた。



「それに、降下直後にそれを教えていたら、その場で今のようになっていたでしょう。敵に見つかって、ドン! あのへんは高射砲がたくさんありましたからね……。彼はたしかに丈夫ですが、そんなものを受けて耐えられるように設計してません」


 彼女は手で銃の形を作ると、自分の頭を撃った。そこに、どことなく悪意を感じた。それが真実だったとしても、のらりくらりと僕の質問を跳ねのけた理由になるだろうか。


 だけど言い返せず、僕は怒りを込めてローラインとルキヤンを交互に見やった。ふたりとも、なんでもないような顔をしていやがる。大したことじゃないという顔をして、犬でもみるような眼差しをしていやがる。



 僕は思わず逃げ出していた。そんな視線に耐えられなかった。後ろから誰も僕を撃たなかったことが、唯一の救いだった。


 すれ違う兵士たちは、僕にぶつかりそうになると止まれと叫んだが、知ったこっちゃない。無視して突っ込むと、彼らがどいた。オーガでさえ脇に避けた。それほど僕は危ない代物なんだろう。



 短い森を抜け、腐った水の臭気が漂う場所に戻ってきた。夜明け前の群青色の空が水面に写り込んでいる。こうやって見れば、元の世界と何も変わらないじゃないか、と思う。それは儚い慰めだった。僕は思わず自分の口に手を当てたが、手で触ってもざらりとした仕上げの悪い鉄っぽい感触があるだけだ。

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