第6話 ねこっちとテレビ
くんちゃんの家猫になったねこっちには、いくつかの仕事があります。
まず、くんちゃんに「いってらっしゃい」を言うこと。くんちゃんが帰ってきたら「おかえりなさい」を言うこと。そして一番大事なお仕事「自宅警備」なのです。
ねこっちは、くんちゃんがいない間の警備を任されているのです。まずは、各部屋を見回ります。次に、窓から外を眺めます。後は休憩です。
ずっと外で暮らしていたねこっちにとっては、くんちゃんのいない時間はとても退屈です。何か楽しいことがないかなーといつも考えます。その日も窓から外を眺めながら、ボヘーっとしていました。
ふと横を見ると、くんちゃんがよく使っているボタンのたくさん付いている板がありました。確かくんちゃんは「テレビのリモコン」と言っていました。ねこっちはくんちゃんがやっていたのを見よう見真似で、そのリモコンをペコペコ押してみました。するといきなりテレビがつきました。ねこっちはビックリしました。でも、丁度ねこっちの大好きな動物チャンネルが映りました。
ねこっちは夢中でテレビを見ます。だって、大好きな番組だったから仕方ないのです。リビングでゴロゴロしながらテレビを見ていると、いつの間にかくんちゃんが帰ってきました。
ガチャガチャと鍵を開ける音がして、ねこっちは玄関へ飛んで行きます。
「くんちゃん! おかえりなさい! ねこっちはちゃんと留守番してましたよ!」
「ただいま、ねこっち……って、あれ? なんでテレビついてるの?」
くんちゃんがリビングに入って、テレビがついていることに気が付きました。
「消し忘れ? ……でも朝はテレビつけないからなー」
ねこっちは慌てて説明しました。
「あのね、くんちゃん。ねこっちは暇だったからテレビ見てました。テレビはねこっちがつけたのですよ」
怒られるかな? と少し心配したけれど、くんちゃんは楽しそうな顔をしてねこっちを抱っこしました。
「ねこっちはすごいな! テレビ自分でつけて見てたんだ! 退屈してないか心配だったけどテレビ見てたなら安心したよ!」
なんだか、褒められて少し照れました。
さて、次はどんなことを覚えようかな?
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