大人の恋

尾形昭

第1話人に好かれる男

奈良科学大学。奈良県生駒市に在る。増田弘和が警備員として働いていた。月曜日から土曜日まで正門で、立っていた。3時頃、図書館の副館長の木下恵子がやってきた。


「増田さん、前から誘ってるのに、カラオケに行きましょうよ」

「いいですよ、ご一緒しますよ」


「今日は、どう」

「いいですよ」


「でも、僕バイクだから、バイクを家に置きに行かなくっちゃあ」

「じゃあ、6時に、近鉄百貨店の生駒店の2階の鶴屋吉信と言う和菓子屋で待ち合わせるのはどう」

「わかりました」


6時に恵子が店に行くと、弘和はもう来ていた。

小さな包みをくれた。


「これ、生菓子4個。プレゼントです」

「まあ、嬉しい、私男の人からプレゼントをもらうの、15年ぶりよ」


二人は、鶴橋で焼き肉を食べた。

カラオケで『今夜はハーティーパーティー・みちのく一人旅・異邦人・雪國』を歌った。


「そろそろ行きましょうよ」

「はい」

「恵子さん、そっちじゃないですよ。駅はこっちですよ」


「なに言ってるの、これから行くんじゃないの」

「なにに」

「決まってるでしょう、大人の男と女がすることよ」

「僕、立ちませんから」

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