第222話【注意力の終わり】

バンバンと銃声が鳴り響く。


「!!」


メフィストフェレスは咄嗟に伏せて背後を見た。


「ヴァアアアアアアアアグナアアアアアアアアアアアアアアア!!」


ヴァーグナー達が後を追って来たのだった。


「足を痛めた様だなメフィストフェレス!!

これなら俺でも勝てるぞ!!」


スクラッチが槍を構えてメフィストフェレスに突進する。


「勝てるかぁああああああああああ!!」


メフィストフェレスは薙刀を振り回し呪文を唱える。


「Root Whip!!」


地面から木の根が鞭状になってスクラッチに襲い掛かって来た。


「くっ・・・」


槍で防ごうとするスクラッチだったが鞭に槍が絡め取られてしまった。


「っ!!」

「はあああああああああああ!!」

「とおおおおおおおおおおおおおお!!」


ノートゥが双剣を振り回してメフィストフェレスに向かう。

ゾルゲも身体能力を強化してメイスを振り下ろす。


「この・・・鬱陶しい!!」


ノートゥの双剣を受け流し、 ゾルゲのメイスを真正面から殴り壊した。


「そ、 そんな!!」

「これ位はやるだろう!! 分かっていたさ!!」

「無駄な事を・・・」

「無駄じゃないさ!!」

「何・・・」


ぷすり、 と肩に矢が刺さった。

真上から降って来た矢である。


「っ・・・マンゲルか」

「そうだ、 遠くから角度を高くして真上から降る位の角度で矢を射って貰った」

「確かにダメージ・・・だが大した事は」


ぷっ、 と血を吐くメフィストフェレス。


「毒・・・か」

「閃光弾と同じく私秘蔵の致死毒なんだけどな・・・なんで生きてるの?」


シュルトゥが不思議そうに尋ねる。


「私を何だと思っている、 毒や薬には耐性が出来ているのだ、 侮るな!!」


一喝するメフィストフェレス。


「私の注意力を引いてこの一矢に賭けたのだろうが無駄だったな

遠慮はしない、 Dark holeで殲滅してやるよ」

「くっ・・・」


手を翳すメフィストフェレス、 唱えさせまいと攻撃を仕掛ける面々。

だがしかし間に合いそうも無かった。


「さらばだ・・・Dark H」


ぐさり、 とメフィストフェレスの胸から剣が生えていた。


「・・・・・」


メフィストフェレスは後ろを振り返った。

そこにいたのは砕けた剣先を回収し、 自分に刺していたグレートヒェンだった。


「皆が注意を引いてくれて助かったよ」

「・・・・・」

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