第202話【英雄譚の終わり】

「ゲント、 そこに居ますか?」

「えぇ、 ここに居ますよキャスリーン様」

「本当に居ますね」

「えぇ、 本当に居ますよキャスリーン様」

「ゲント、 ゲント」

「何ですかキャスリーン様」

「呼んでみただけ」

「ふふ・・・」

「ねぇゲント」

「何ですかキャスリーン様」

「私の事、 嫌いですか?」

「そんな事は有りません、 お慕いしております」

「好きですか? 嫌いですか?」

「・・・・・好きです」

「本当に? 本当に私の事好き?」

「えぇ、 本当です・・・恥ずかしいから言わせないで下さい」

「嘘だぁ」

「何でそう思うのですか?」

「私なんかを何で好きになるのですか?」

「キャスリーン様はお優しい方です」

「貴方に好かれようと良く見られようとそれっぽく振舞っていただけです

私は本当は打算に満ち溢れた悪女なのです」

「そんな事を言っても、 キャスリーン様がこれまでにして来た事は全て良い事です

悪い事を考えていても良い事をしているのならば、 良い事をしている人は良い人なんです」

「本当にそう思っている?」

「・・・・・でもそうですねキャスリーン様は良い人ですが

悪い女ですね、 僕を照れさせる様な事を言っていますし」

「ごめんなさい!! 嫌わないでゲント!!」

「あぁ!! すみません!! 口説き文句のつもりでした!!」

「く、 口説かれた!? 私ゲントに口説かれたの!? あぁもう如何にかなってしまいそう!!」

「あぁ!? キャスリーン様が茹蛸の様に真っ赤に!!」

「本当に嬉しい!! もう私死んでしまいそう!!」

「死んではいけませんよキャスリーン様!!」

「ふふっ、 冗談ですよゲント」

「ほっ・・・」

「ねぇゲント」

「何ですかキャスリーン様」

「私は知らないのですが赤ちゃんってどうやって作るのかしら」

「キャスリーン様とゲント君、 宜しいでしょうか」


寝床に居る二人を呼ぶヨナス。


「・・・・・何ですかヨナス殿」

「定時報告に来ました、 異常有りません」

「そうですか・・・・イイトコロダッタノニ」

「はい?」

「いえ、 何でもありません、 下がって下さい」

「はい、 ごゆっくりどうぞ」


下がるヨナス。


「・・・・・折角盛り上がって来た所なのに・・・」

「はは・・・所でキャスリーン様、 僕はキャスリーン様と一緒で良いのですか?」

「良いのです・・・

我々は既に滅んで誰も来ないこの大海城で騒動が終わるまで待てばいい」

「・・・・・これで良いのでしょうか」

「良いのですよ・・・私達が父上と戦った所で勝ち目は無い・・・

かと言って戦争に出向くのはリスクが高過ぎる・・・

情けないでしょうが、 我慢して下さい」

「いえ・・・キャスリーン様も考えてこれしか無いと思ったのでしょう?

ならば僕もその案に乗りますよ」

「ごめんなさいゲント・・・」

「大丈夫ですよキャスリーン様」


身を寄せ合う二人。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る