第178話【手を拱く訳にはいかない】

「この間の盗賊と同じ状態になっているって言ったわよね?

あの盗賊達の様子は可笑しかった・・・強かったけど長生き出来るとは思えない」

「それが問題だ、 もしもゴーチエ大公に勝ったとしても後が続かない」

「そ、 そうかなぁ・・・私は違うと思うけども・・・」


おどおどとノートゥが口を開く。


「どういう事だ?」

「こ、 こういうのは悪いけど一般兵って弱いじゃない」

「まぁ弱いな」

「・・・・・弱い奴を強くするなら兵士じゃなくても良いんじゃない?」

「どういう事だ?」

「ま、 まさか!?」


ヴァーグナーが驚愕に目を見開く。


「・・・・・・・民草から無理矢理兵を徴収すると言う事も・・・」

「馬鹿なッ!?」

「あり得ない!!」


この王国に置いて兵は希望制である、 それでも引く手数多の花形職種なのだ。

この国は外法で安定しており、 老後は年金で安泰

と公務員の様な職種なのだ。


「そんな事をすれば国が潰れる、 労働力が減り生産量が減り続ける」

「国を潰してまで一体何をするつもりなんだ陛下は!!

勇者ファウストの死体を集めている事は分かるが

如何いう状況なんだ説明してくれ!!」

「分かった、 説明しようグレートヒェン」


ヴァーグナーはこれまでの出来事を簡単にグレートヒェンに説明した。

フォースタスの頭にファウストの脊髄が刺さった事。

御使いからファウストの、 右手、 右腕、 左腕、 左足、 左脚

左腿、 右脚、 右腿を回収した事。


「御使いを壊滅させた・・・?

海上のスタンピートが起きたら如何対処するつもりだ?」

「それは分からない」

「分からないで済むか!! 国が滅ぶかもしれないのに何故そんな事を!?」

「反旗を翻された以上、 殲滅はやり過ぎだが対処をする必要が有った・・・」

「・・・・・」


この国では反乱や内乱が起こった事が無かった。

それ故に対処方法も分からなかった、 良い所で終わらせる等不可能だった。


「だがこれは・・・あまりにも・・・」

「・・・・・もうこれ以上手を拱いて見ている訳には行かないだろう」

「では如何する?」

「この状況・・・王を討つしかあるまい・・・

だがその前に此方も聞いておきたい事がある」

「聞いておきたい事?」

「グレートヒェン、 君は今まで一体何処で何をしていたんだ?」

「・・・・・」


グレートヒェンを真っ直ぐ見るヴァーグナー。

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