体の章

第177話【頭を抱える】

「う・・・ん・・・」


ベッドから起き上がるグレートヒェン。


「ここは・・・?」

『状況を説明しておこうグレートヒェン』

「ファウスト」

『お前がロープで引き寄せられた後、落下して頭の打ちどころが悪かったのか

一週間寝込んでいたんだ』

「そんなに寝ていたの・・・それでここは?」

『ここはドナウエッシンゲンだ』

「ドナウエッシンゲン・・・ゾルゲが治めている・・・何でここに?」

『それは・・・』


がちゃり、 とドアが開く。


「あ、 グレートヒェン様がお目覚めになられましたー!!」


ボールを持った、 恐らく世話役だろう女性が大声を出した。


『これからの事情はヴァーグナー達に聞いてくれ』

「分かった・・・」


目覚めたグレートヒェンはゾルゲの執務室に通された。

執務室にはゾルゲ、 ヴァーグナー、 ノートゥ、 シュルトゥの四人が居た。


「やぁグレートヒェン、 久しぶりだね」

「久しぶりゾルゲ、 皆も久しぶり」

「そうだな・・・」

「あんまり嬉しくない再会だけどねぇ・・・」

「そうね・・・」


重苦しい表情の四人。


「その顔・・・何か良くない事が有ったのね?」

「あぁお前が寝ている間に偉い事になった」

「偉い事?」

「ゴーチエ大公がフォースタス王が戦争を仕掛けた

今、 王国は内乱状態になっている」

「何故!?」

「ゴーチエ大公はフォースタス王が

外術を使える事から処刑すべきと意見を発した」

「陛下が外術が使える事がバレたの!?」

「あぁ・・・我々が逃げた後に盛大に使ったらしい・・・」


重苦しい表情のヴァーグナー。


「王子殿下や王女殿下達は!?」

「クリストファー殿下は自身の領地に引き籠り

ヴォルフガング殿下は騎士団長と共にゴーチエ大公と協力

フォン殿下は独自に動き、 陸軍でクーデターを起こしたが失敗

陸軍の大半が壊滅し、 現在ウェブスター共々生死不明

ヘレン殿下は王に着き、 キャスリーン殿下は行方不明」

「偉い事になったわね・・・」

「全くだ・・・もう滅茶苦茶だ・・・」

「陛下は何と言っているの?」

「外術を禁ずる法律を撤廃すると」

「・・・・・」


この状況、 最早滅茶苦茶である。


「戦況は如何なっているの?」

「ゴーチエ大公が圧倒的に不利だな・・・

王配下の兵はこの間の盗賊達の様な状態になっている

敗北は必至だろう」

「頭が痛いわ・・・」

「私もだ・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る