第138話【幸せな夢を見ている間は気が付かない】

”変化が無い?”と黒板に書かれていた。


「あぁ、全く持って変化が無い」


ダニエルが言葉を返した。

すると大臣の体が沸騰するかの様に沸き上がり腕の束が盛り上がり

まるで龍の如くに長い腕がダニエルを殴り飛ばした!!

ダニエルは咄嗟に回避した。


「な、何をする!?」


”何だ自覚が無いだけじゃない、大丈夫だよ”と黒板に書かれていた。


「???」


”君、今の攻撃避けただろ”と黒板に書かれていた。


「あぁ・・・それが・・・」


”普通の生き物だったらバラバラになっている所なんだよね”と黒板に書かれていた。


「!!」


戦慄するダニエル。


「なるほど、大人が子供の頃の非力さを認識出来ない様に

俺達は超人になった自覚が無い、って事か?」


ストーンが纏める。


”そういう事らしいね、ファウストの死体を体に入れると強くなる

と言うのは分かっていたが自覚が無いとは思わなかったよ”と黒板に書かれていた。


「無責任だなぁ、死体とやらがお釈迦になったらどうするつもりなんだ?」


”前に猿で実験が有ったから大丈夫だとは思ったんだ”と黒板に書かれていた。


「なるほど・・・」

「と、と言うかバラバラって・・・人を殺すのは嫌なんじゃ無かったのか?」


キャンポーがおどおどしながら口に出す。


”安心しなよ、バラバラになっても私なら元通りに出来る”と黒板に書かれていた。


「・・・・・」


絶句するキャンポー。


”さてと話題が逸れてしまった、君達全員にもファウストの死体を入れようか”

と黒板に書かれていた。


そしてそれぞれファウストの死体を入れられる5人。


「違和感が有る・・・」


”では君達の仕事について話そうか

君達が殺すべき相手、それは勇者ファウストの仲間、女騎士グレートヒェン”と黒板に書かれていた。


「ぐ、グレートヒェン!?あの!?」


キャンポーが文字通り腰を抜かす。


「女騎士・・・そそるねぇ」


ストーンがにへりを笑みを浮かべる。


「・・・・・」


トムとデルは沈黙を守っていた。


「名前は聞いた事が有る、どんな奴なんだ?」


ダニエルが冷静に尋ねる。


”彼女は恐らく複数のファウストの死体をその身に宿している

我々が所持していたファウストの腰を奪い取った”と黒板に書かれていた。


「相手が騎士なら銃で撃ち殺せば済む話だ、簡単よ」


クレールは自分が以前出会った事に気が付かずに楽観論を嘯く。


「それでそのグレートなんたらって言うのは何処に居るのかしら?」


”分からない”と黒板に書かれていた。

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