第123話【仕事の前準備】
人里離れた小屋の前で野営をして一晩明けた朝。
「・・・おぉ、ほんとに野営していたのか」
小屋から出て来るヴィンセント。
「有言実行ですよ」
「そうか、俺様は仕事を始める前の禊を済ませて来るが、お前は如何する?」
「禊?」
「身を清める滝行みたいなもんだ」
「・・・遠慮しておきます」
「そうか」
歩き始めるヴィンセント。
「あ、ちょっと」
「ん?」
引き留めるグレートヒェン。
「禊・・・でしたっけ?それって必要ですか?」
「必要だな、女を抱く時にもシャワーを浴びるだろう、それと同じ理屈だ」
「・・・・・」
「・・・・・」
考えるそぶりをするヴィンセント。
「同じ理屈ではないな」
「ですよね!!焦りましたよ!!」
「まぁ・・・とりあえず気合い入れるからとりあえず行って来るわ」
滝に向かうヴィンセント。
「タオル忘れてた」
そして戻る。
―――――――――――
禊を済ませたヴィンセントが戻って来ると龍の屍を前に経を唱え始めた。
ヴィンセント曰く、龍に対する鎮魂の祈りらしい
これを怠ると剣に龍の怨念が宿り
剣に屍としての特性が宿ると言う、この特性自体は殺傷力を増すので
経を唱えずに作業に入るケースも有るのだが、屍としての特性が有ると
対アンデットに対して殺傷力が無くなるデメリットもある。
今回はしっかりと経を唱える事になった。
「お前の剣になるんだから拝んでおいて損は無いぞ」
そうヴィンセントに言われたので
ヴィンセントが経を唱える隣で拝むグレートヒェン。
「・・・さて、経も唱え終わったし、飯にするか」
「仕事なさらないんですか?」
「馬鹿言うな、腹が減っては何とやらだ、龍の肉も喰わねばならない」
「・・・・・へ?」
間抜けな声を出すグレートヒェン。
「龍の肉は武具の素材にならないからな、喰ってしまわないと勿体無い」
「いやいや龍の肉って食べられるんですか?」
「喰える、所か相当に旨いぞ、鱗をまず取る必要が有るが」
「そ、そうですか・・・」
「喰うか?」
「・・・少し興味が有りますね、頂きます」
龍の肉を食べるグレートヒェンとヴィンセント。
そのまま丸焼きかと思ったらハンバーグステーキになって出て来て
面食らうグレートヒェンだったが味は確かに最高だった。
パンが無いのが悔やまれる。
「さてと飯食ったから少し食休みするか」
「食べて直ぐ動くのは良くないですからね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます