第105話【流浪の銃士は呆れる】

「あの馬鹿・・・突っ込んで行った・・・」

「マジかー・・・まぁアイツらしいっちゃアイツらしい」


甲板から様子を伺うヴァーグナーとシュルトゥ。


「このまま大砲撃ち続けて終わりとは行かないか?」


ヨナスがヴァーグナーに尋ねる。


「『御使い』にも船はある、海上戦は寧ろ不利かと」

「ならばやはり上陸して白兵戦になるか・・・分かった、準備を始めよう

シュルトゥ殿も来て下さい」

「分かった、ヴァーグナーも気を付けてな」

「あぁ、君もな」


腕をガッ、とやって別れるヴァーグナーとシュルトゥ。


「さて此方もそろそろコイツの射程距離、撃ち始めるか、では行きますよファウスト」


射程の長いライフル銃を構え撃ち始めるヴァーグナー。





一方、大海城の城下町では。


「退け退けぇ!!」


砲撃の雨の中で突撃しながら突っ込むスクラッチ。


「ぐはっ!!」

「な、何だコイツ!!」


彼は雑兵を片っ端から殺しながら城に突撃していた。


「待たれよそこの槍使い!!」


ガキン!!とスクラッチの槍を防ぎながら老人がスクラッチの前に立ちはだかる。


「何だ爺さん!!」

「『士』四の剣『老境のサイトウ』!!お相手仕る!!」

「あぁ!?四だぁ!?そんな中途半端な数字の奴に用はねぇよ!!すっこんでろ!!」

「中途半端だと!?サイトウ殿加勢します!!」


白髪の青年と奇抜な格好の青年がスクラッチを囲む。


「儂だけで充分!!其方らは船へ向かえ!!」

「ですが!!」

「ミヤモトが死ぬのは痛手だ!!奴の呪いを解くのが肝要!!」

「しかし・・・」

「俺は構わんぞ?俺の狙いは端から首領の首だ

お前等の首何ぞ勘定に入れない」

「ふん・・・パワーアップした首領に適う物か!!行くぞお前達!!」

「お、おい待てよ!!」


2人の青年は雑兵を連れて砲弾が行きかう戦場を走る。


「爺さんよ・・・アンタ分かるだろう?」

「あぁ・・・アンタは儂より強い、立ち会えば殺されるかもしれん」

「かもじゃなくて殺される、退け」

「だからこそやり甲斐って奴じゃよ!!」


サイトウは斬りかかった。


「!!」


スクラッチは槍を横にして防いだ、速いと言うよりは滑らかな動きに驚いた。

続く連撃をガンガンガン!!ギンギン!!と攻撃を防いでいく。

砲弾の直撃も剣で叩き切る。


「凄いな」

「まだまだ若いもんには負けん!!」

「年寄りの冷や水は止せよ、爺さん!!」


スクラッチの槍が唸る。

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