第102話【流浪の銃士は残る】

「スクラッチ殿!!手柄が欲しいからと無謀な行動は慎んでもらえないか!!」

「その通り!!」

「無謀な戦いは止すべきだと私も思うぞ、スクラッチ殿」


ハンスにヨナス、そしてパンが攻め込むのに反対する。


「いやいや、団長、副団長、何を言っているのですか?」


ヴァーグナーが割って入る。


「我々はここに戦いに来たのですよ?攻め込んで来たのに

逆に攻め込まれるのを座して待つと言うのは笑い話にもなりはしない」

「その通り」

「ちょっと待って!!」


シュルトゥが静止する。


「何だシュルトゥ、臆病風に吹かれたか?」

「そんな事じゃないよ、ヴァーグナー、あそこはアンタの故郷だろう?

攻めて良いのか?民間人も大勢居るんだろう?」

「心配ご無用、こんな時の避難訓練は日常茶飯事だ

安全な地下室で事が終わるまで待って居るだろう」

「そういう事じゃなくてだな・・・」

「こちらも準備が終わりました」


何時の間にか居なくなっていたウェブスターが部屋に戻って来た。


「ウェブスター殿・・・一体何方へ?」

「耐性が付いたこの船に他の船から兵員の乗り換え作業を行っていました

罪人部隊以外の主要な兵を乗せられるだけ乗せました」

「な、何を勝手な事を!!」

「これから攻め込むのに兵が居ないのでは話になりませんので」

「何故攻め込むのだ!?このまま時間が経てばミヤモトは死ぬ!!」

「皆さん大事な事を忘れています、今回の目的は勇者の遺体の奪取です

ミヤモトが死んだ時点で逃走を図る可能性も有ります」

「まさか!!」

「あり得ん!!」


ハンスにヨナスが口々に言う。


「・・・如何攻める算段ですか?」

「パン殿!?」

「騎士団と陸軍が攻めて近衛部隊は船内に待機しメフィスト殿を護衛して頂きます

罪人部隊も前進させますが上陸出来るか不安です」

「まぁ罪人共は端から頭数には入ってませんので使い潰して大丈夫でしょう」

「近衛はこの策に乗ります」

「パン殿!!」

「・・・仕方あるまい、行くぞヨナス!!」

「あ・・・くそ!!」


ハンスとヨナスが部屋から出て騎士団達に指示を行う。


「我々は如何します?」


ヴァーグナーはウェブスターに尋ねる。


「貴方方の戦闘能力は私の常識を超える、自由にやって貰って結構です」

「では私は攻めるとしよう」


スクラッチは槍を持って部屋から出る。


「・・・私も行こう」


シュルトゥも部屋から出た。


「じゃ、じゃあ私はメフィストを守るね」

「彼等2人が行ったのだからこちらも2人で守りましょうか」


ノートゥとヴァーグナーが船に残った。

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