第103話【流浪の銃士は叫ぶ】

「ノートゥ殿、ヴァーグナー殿、船に残るにしても甲板に上がって貰えますか?」

「ウェブスター殿?如何いう事です?」

「出陣前の御言葉を頂きたい」

「お、おおおおおお御言葉?!わ、私、人前でそういうの無理です!!」


ノートゥがパニックになりながら答える


「・・・じゃあ私だけが出ますね」

「う、うん、助かるよヴァーグナー君」


ヴァーグナーが甲板に出る。

そこでは既にハンスが騎士団の団員達に演説をしていた。

ヨナス、スクラッチとシュルトゥは退屈そうに見ていた。


「ヴァーグナー

何か出陣前に言えって言われたんだけど代表してお前やってくれない?」

「私も頼むわ、こういうの向いてない」


スクラッチとシュルトゥが小声でヴァーグナーに頼む。


「まぁ大丈夫だけど・・・・・!!」



ヴァーグナーが何かに気が付く。


「おっと」

「もうか・・・」

「らしいな・・・」

「如何成された御三方?」

「ハンス騎士団長!!一言宜しいか!!」


ヴァーグナーが演説中のハンスに声を挙げる。


「・・・・・構わんが、しかし」

「ならば言わせて貰おう、演説を聞いている暇は無いぞ諸君!!

既にここは戦場だ!!備えよ!!」


その声と同時に大波が巻き起こり旗艦と罪人部隊の船を襲った。


「うわああああああああ!!!」

「な、なんだあああああああああ!!?」

「船にかけられた魔法耐性のお陰で転覆はしないだろうが

波に攫われたら死ぬぞ!!各々耐えろ!!」


ヴァーグナーが檄を飛ばす。

大波が旗艦を覆うがメフィストフェレスのかけた魔法により

転覆はせずにそのまま前進している。


「っぷは!!ヴァーグナー殿!!これは!!」

「イゾウの攻撃でしょう!!これで落とせないと気付かれたら次が来ますよ!!」


そうしている間に旗艦の上に影が落ちる。

その影とは・・・


「巨大な・・・木!?」


巨大な樹木が大海城から旗艦に向かって落ちて来ているのだ。


「ゲンサイ・・・木を操ってこれ程の攻撃を・・・不味いな・・・落ちる」

「な!?」

「ヴァーグナー、首領の・・・何だっけ?まぁ名前は良いか

何処に居るか分かるか?」


スクラッチが場違いな質問をする。


「城がある、その城の謁見室だと思う」

「そうか、そこまで分かれば充分だ」

「スクラッチ殿!?一体な・・・に・・・を?」


スクラッチは思い切りジャンプをして落下する大樹に飛び乗った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る