第97話【流浪の銃士は自分を見下ろす】

「・・・・・何コレ?」


ヴァーグナーは倒れている自分の姿を見ていた。


「ヴァ、ヴァーグナー殿が分裂した!?」

「おおおおおおおおおちおちちちちちつ、おち、おちち、おちつけ!!

こ、これれれ、これは!!」

「お前が落ち着け!!ノートゥ、これはDummyの魔法だ!!」

「Dummy?何だその魔法は?」

「聞いた事が有りますな、Dummyとは魔法をかけた人物の肉体を増やす魔術です」


パンが解説を行う。


「肉体を増やす?」

「えぇ、増えた肉体に意識が乗り移り、増えた方の肉体が死んでも

元の体に意識が戻る、文字通り囮に仕える魔術です」

「へぇ・・・その魔術に何が・・・」


今度はDummyで増やした肉体の方の頭をガシッを掴むメフィストフェレス。


「Eye contact」

「Eye contact・・・視界の共有の魔法・・・?一体何を・・・」

「・・・・・」


元の位置に戻り座るメフィストフェレス。


「あのー・・・メフィスト」

「はぁ・・・一番強い奴を見て来い、呪い殺す」

「!!」

「呪殺するつもりですか!?」


呪殺とか読んで字の如く呪い殺す魔術である

魔術では呪いは基本的な技術だがあくまで体調を悪くさせたりする程度

その程度でもごっそりと髪の毛の束が要る等、準備が居る

上位の呪術師ならば見ただけで呪えるかもしれないが

呪い殺すとなると次元が違う話である。

例えるならば足が有るのだから平地を歩くのが呪いならば

壁を足で歩いて昇れと言うのが呪殺である。

実質不可能に近い所業である。


「見ただけで呪殺なんて・・・そんな・・・」

「出来る、但し時間がかかるので呪い殺すまで私を守れ、以上だ」


それ以降だんまりを決め込むメフィストフェレス。


「・・・・・では私が一旦特使としてレーヴァーキューンの元に向かいます」


ヴァーグナーが提案する。


「話を聞いて貰えるか?」

「不安ですがやるしかないでしょう、正直勝てるか不安ですが・・・」

「それが付け入る隙になるだろう」


ハンスが檄を飛ばす。


「相手は強大だ

それが油断となり話だけは聞いてみようと言う気になるかもしれん

ましてや君は首領の息子」

「元息子」

「元息子だ、話を聞こうと言う気になるかもしれない」

「・・・どうだろう・・・では行って来ますね」

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