第56話【暗い繋がり】

「・・・同じ?」


激昂して立ち上がるジェラールが呆けた顔で聞き返す。


「えぇ、実は私にも人様には言えない秘密が有りましてね

それをゴーチエ大公に握られているのです

それで今回脅されながらこうして動いていると言う次第です」

「・・・ゴーチエ大公と言うのは握り屋なのですか?」

「それが近いでしょうな」


ジェラールは座る。


「一体何故貴方が脅されているのか・・・詳しくは分かりませんが

この街の状況を見て居ると何か大きなヘマをしたのだと言う事は分かります」

「ブラウ伯爵、それは主に失礼です」


女中のミシェルがたまらず口を出す


「別に私は貴方を如何こうしたい訳じゃないのです

たださっさとファウストの死体を探し、見つけ出しこの無駄に出費の掛かる

出兵を終わらせたい・・・この理屈分かります?」

「・・・」


ミシェルの言葉を無視してブラウは話を続ける。


「僕がやって来たのは人に恥じる事は無い

だが指摘されれば問題になるだろうと言う事だ」

「だがこうして慌てると言う事は悪い事だと言う事は理解できているのでしょう?」

「く・・・」


外からクレールが入って来る。


「お茶をお持ちしました・・・」


お茶を自分の主人とブラウの前に置く。


「ジェラール殿、貴方に協力しない以外の選択は無いのですよ

さもなくば貴方はその座を追われる事になる、これはお分かりですよね?」

「分かりますよ・・・ですが僕は信念を持って実行したんです!!

貴方はさっき言った人には言えない事に信念は有りましたか!?」

「有りませんねぇ」

「信念も無しに同じ立場と言わないで貰いたい!!

僕は正しいと思い正義を行ったのです!!貴方とは違う!!」

「貴方が何をしたかは知りませんが

信念が有れば何をしても良いとはならないでしょう

何を言っているのですか?貴方は?」

「くっ・・・・・」


ティーカップを振り上げるジェラール、だがミシェルに止められる。


「若、じゃなかったご主人様、落ち着いて下さい」

「ミシェル!!」

「ここで彼等に逆らっても仕方が有りません」

「だが彼等に従って騎士団を出しても出費が増えるじゃないか!!

ただでさえ領民が少なくて税収が減っていると言うのに!!」

「騎士団では無く領民を使えば良いのです」

「・・・なんだって?もっと詳しく聞いても良いかい?」

「えぇ・・・構いません」

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