第H話【処刑八日後】

フォースタスはその後

調べ上げられフォースタス本人だと言う事が分かった

しかし体は完全に勇者ファウストの物と同一になっていた

声のみフォースタスの物である

フォースタスは重鎮達と共に玉座の間で話し合っていた


「ふむ、如何やら体がファウストの物に置換された様だな」

「陛下、落ち着いていますが何か心当たりでも?」

「この骨だろう、この骨は恐らくファウストの骨・・・

形状からすると鎖骨か、この骨が何らかの作用を齎し

私の体をファウストのそれと置き換えたのだろう」

「在り得ない!!」


シモンが絶叫する


「シモンよ、お前の魔術の腕は充分に知っているが

外法に関しては無知も同然だろう、ファウストは外法を使う

ならば何が起きても不思議では無い」

「それでは勇者を殺したのは不手際だったと?」


シュルトゥが不敬にも取れる発言をした


「そうでも無い、奴が死んだお陰で私はこうして若く強い体を手に入れたのだ」

「っ!!」


飛び出しそうなシュルトゥを制するヴァーグナー


「だが、しかし問題が無い訳では無い」

「・・・問題とはなんですかな陛下?」


ゴーチエがフォースタスに問う


「お前の方の問題は置いておこう

問題とは私の体には勇者の背骨しか刺さっていない

そして勇者の死体は他には見つかっていない、そうだな賢者メフィストフェレス?」


事の事情を話して何とか連れて来れたメフィストフェレスに尋ねるフォースタス

メフィストフェレスは黙って頷く


「つまり、まだ勇者の死体は何処かに有ると言う事だ

一週間もメフィストフェレスが探し回り見つからないとすると

恐らく爆発の衝撃で王国各地に飛散したのだと推測する」

「それは・・・無くは無い話ですがそれが如何したのです?」

「クリストファー、お前は想像力が無いな

背骨でもこうして私がファウストの体になる位の力が有るんだ

それぞれの死体の部位のみでも相当な力が有ると推測する

これは国家に対して非常に憂慮すべき事態だ

もしも悪党に勇者の死体が渡れば何が起こるか分かったもんじゃない」

「確かに・・・では陸軍の総力を挙げて国中を捜索します陛下!!」

「まぁ待て、ここは一つ宣言をしておこうと思ってな」

「・・・宣言?」

「クリストファーに王位を預けるのが急に不安になって来た」

「それは私も思います」

「クリストファーは素直だな、能力は無いが」

「ははは・・・」

「そこでだ、一番多く勇者ファウストの死体を集め

私に献上した者、その者に王座を譲ろうと思う!!」


驚愕に揺れる玉座

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