第1.9話【処刑当日】

シュルトゥはスクラッチの邸宅へ向かった

スクラッチは朝食を取っていた


「やぁシュルトゥ、朝食でも一緒に喰いに来たのか?」

「いや、少し話したい事が有ってな」

「へぇ足止めのつもりか?」


シュルトゥは目を見開きナイフに手をかけた


「止めろ、俺は今日は出ないよ、ファウストの断頭に興味は無いし

お前達がファウストを助ける事も邪魔はしない」

「!?・・・何故私がヨハン殿下と繋がっている事を知っている?」

「ヨハン殿下と繋がっているのか、へぇ・・・」

「鎌をかけたな?」

「いやいやただの推理だよ、お前が嫌っている俺の元に来ると言う事は俺を殺す

のは無理なのはお前も分かっているから足止めだろう?

俺を足止めしている間に別動隊がファウスト救出、とかそんな流れだろう」

「そこまで読めているのか」

「お前が馬鹿なだけで現実的な読みだよ」

「・・・・・さっきの話、ファウストを助ける事を邪魔しないと言うのは・・・」

「別に奴が死のうが生きようが興味は無いからな」

「・・・ファウストが外法を使ったってチクったのお前だろ?」

「言ったが、ファウスト本人も自由に言って貰って構わない的な事言ってただろ?

それで恨むのは御門違いだ、ろっと」


シュルトゥの投げたナイフを手に持っていたフォークで叩き落とすスクラッチ


「黙ってても死ぬんだったら利用しても良いだろう?」

「この外道がっ!!」

「黙れ盗人、お前如きに俺の願いは理解出来んだろうなぁ・・・

閑話休題、それよりさこうして足止めされている代わりにちょいと話したい事が有るんだが」

「・・・何だ?」

「もしもファウストの処刑をヨハン殿下達が妨害出来たなら

そちらの派閥に移りたいんだが橋渡ししてくれるか?」

「なっ!?お前!!」

「そうだなぁ『盟友シュルトゥの説得によりファウストの処刑を止めようとした同志』とか

そんな感じで迎え入れてくれれば良いよ」

「恥は無いのか!?それにヨハン殿下がしくじったのならば」

「何も?そのまま王様の側に付くさ」

「貴様には外道と言う言葉すら生温い!!」

「俺にはそれが許される力が有るんだよ、分かるだろ?」

「っ・・・」


ファウストを覗けば勇者の仲間内で最強なのは

スクラッチかメフィストフェレスの何方かと言うは定説であり

彼等彼女等二人を手に入れれば国をも制する事が出来る、と言う噂まで流れており

事実この二人が手を組めば国家転覆すら容易だろう


「そこまで地位が欲しいか!?」

「要らねぇよ!!俺が欲しいのは名誉のみ!!100年先だろうが1000年先だろうが

歴史に名を残す大英雄で有りたい!!それだけの話よ!!地位だの何だのは全てその為の物に他ならない!!」

「・・・いかれてやがる」

「男ってのは成り上がって認められてナンボだ!!女子供にゃあわからねぇよ!!」

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