こちら柏市役所総務部人外対策課
黒咲
第1話 コボルト退治 その1
「ハァハァハァ…… クソッタレ。どこ行きやがった」
「こっちか!」
そう言いながら
ふと交差点の信号機を見ると灯火が消えていた。そのせいか道路には何台もの車が停車している。
「おい! とっととぶっ殺してこいよ! こっちは急いでんだからよ〜」
停車している一台の車から男の怒声が聞こえた。
「うるせー こっちだって必死にやってんだよ。魔物が出たら安全のために信号機の点灯は消えるから車は停車しなきゃならないって法律になってんだから黙って止まってろ。ってかさっさと車置いて指定された避難所に行けよ」
「くそ、住民に被害が出てなきゃいいが……」
しばらく道を走っていると遠くで警官の制服を着た若い男がこちらに向かって手を振っているのが見えた。
「おーい! シゲさーん! こっちです!」
「ハァハァ……
両膝に両手をつき荒い息を繰り返しながら
「こ、この先にある坂の下でウロウロしてますよ」
「やっと見つけたぞ…… ところで南雲、住人に被害はないか?」
「は、はい。ここら一帯の住人には家から出ないようアナウンスしてます」
「そうか」
「シ、シゲさん、早くあの化け物を魔法でやっつけちゃってくださいよ〜」
青ざめた表情の
「バカヤロウ、押すんじゃねーよ。ってかこの距離じゃあ俺の魔法は当たらねーよ。もっと引きつけなきゃな…… おい!
「嫌ですよ〜 なんで僕がそんなことしなきゃらないんですか〜」
「おいおい、オメーの腰についてるそれは飾りかよ!」
「ええ、そうです。これは飾りみたいなもんです。これは魔物相手に使う事は許されてません。もし使ったら僕が上司に怒られちゃいます」
「チッ! クソの役にもたたねーな。しゃーねー正面突破だ」
そう言うと
犬の顔をした化け物―― コボルトは獲物を探しているのか鼻をクンクン動かしながらあたりをウロウロとしていた。
そして、獲物の匂いを感知したのか坂の上を見る。すると一人の男が「ウオー」と叫びながら勢いよくこちらに向かって走ってくる。
驚いたコボルトは威嚇するように吠えた。だが、男は構わず突進してくる。そして、突如、男は飛び上がりドロップキックをコボルトの顔面にぶつけた。
コボルトは後方へ思いっきり吹っ飛んで転ぶ。だが、大したダメージもなくすぐに起き上がると男を睨みつけた。
男はもちろん
「くらえ!
「ぎゃ」
コボルトは一瞬の悲鳴をあげるとすぐに頭部が蒸発した。首が無くなったコボルトの体はゆっくりと後ろに倒れる。
「はぁ。やっと1匹かよ……」
「ちょっとシゲさん! なにコボルト1匹に手こずってんのよ! さっさとこっちにきて手伝え!」
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