第23話 金曜日の誕生日会 リョータと杏奈&梓


誕生日会の料理が大体出来たくらいの時間にインターホンが鳴りリョータと杏奈ちゃん、梓ちゃんが3人揃ってやってきた。


「「おじゃましま〜す」」

「悪い悪い、ちょっと遅くなっちまった」

例によって2人に左右をガッチリと固められて、連れ去られる宇宙人よろしくリョータが苦笑いを浮かべてリビングに入ってくる。


「おう、リョータ遅かったな」

「・・・西尾君」

高山君が声をかける横でみちるさんはそんなリョータを見て引きつった笑いを浮かべている。


「みんな揃ってたんだな。俺が最後?」

「そうよ、杏奈ちゃんに梓ちゃん、遅かったじゃない?」

「せっかくだからリョータ君と一緒にこようって下で待ってたんです」

杏奈ちゃんと梓ちゃんが顔を見合わせて、ね〜ってやってる。


「・・・西尾君がハーレム」

「先生っこれには色々とわけがあるんです!」

「・・・西尾君が二股」

「せんせ〜い!」

リョータがみちるさんに事情を必死で説明している側で鈴羽が改めて高山君に2人を紹介している。


「リョータ、ケーキは?」

僕はキッチンから顔を出してリョータにケーキの用意をしてくれるように頼む。


「皐月〜お前からも先生に説明してくれ〜」

「あ〜、うん。頑張れ、リョータ。僕は忙しいから」


僕は料理の用意をしながらリビングで騒いでいるみんなの笑い声に耳を傾けていた。

みんな楽しそうでよかったよ。



「はい、じゃあみんな揃ったところで始めようか?」

僕はみんなに飲み物を配り、乾杯の用意をする。


「じゃあ、リョータ。ロウソクに火と乾杯の挨拶をお願い」

「やっぱ俺か?」

「当然じゃない、リョータ君の彼女の誕生日よ」

鈴羽が可笑しそうに言うと杏奈ちゃんと梓ちゃんもうんと頷く。


「え〜、では。ん〜、照れるなぁ」

「え〜っリョータくん、しっかりしてくださいよ〜」

「そうよ、リョータ君。ほら」

2人はリョータの隣でニコニコと笑ってリョータを見ている。


「・・・今日は杏奈と梓の誕生日をみんな祝ってくれてありがとう。こんな関係はちょっとおかしいんだとは思うんだけど、杏奈と梓が俺を好きでいてくれるように、俺も・・・杏奈と梓が大好きだ!乾杯!!!」

「「「乾杯」」」


それぞれが飲み物片手に乾杯をして回る。


「電気消すからケーキお願いね」

誕生日ケーキには、杏奈ちゃんと梓ちゃんの名前が書かれたチョコレートのプレート。

ロウソクの火を2人で吹き消すとみんなから盛大な拍手が送られた。

2人は、ちょっと涙目になってリョータに抱きついている。そんな2人の頭を撫でてやっぱりちょっと涙目になってるリョータ。


「えっと、杏奈、梓。誕生日おめでとう。ちょっと遅れたのとちょっと早いけどな」

「ううん、ありがとう!リョータ君」

「はい。嬉しいです!リョータくん」


リョータはそう言いながら小さな箱をそれぞれに手渡した。

「もっと気の利いたものが良かったんだけど、こういうのってよくわからなくてさ」

「わぁ!開けてもいい?」

「あ、ああ、気にいってくれるといいんだけど」


2人はいそいそと箱を開ける。

リョータが2人に選んだのはお揃いのピアスだった。

杏奈ちゃんは赤色、梓ちゃんは青色。2人のイメージ的にはぴったりの色だ。


「・・・ありがとう。リョータくん」

「ありがと。リョータ君、ねぇつけてもいい?ほら梓ちゃんもつけようよ!」


「「似合う?」」

「おう、可愛いぞ。うん、可愛いな」

リョータは2人それぞれに感想を言ってる、けど中身は一緒だよな。

えへへ〜と2人がリョータに抱きついているのを生温かい目で高山君とみちるさんが眺めている。


「リョータもやるもんだなぁ」

「西尾君が・・・大人に・・」

「みちる、大人にっていうのなら多分皐月が一番大人だと思うぞ」

「ちょっと!僕にふらないでよ?」

「立花君も・・・」

「ほらほら、みちるさんが遠くを見つめてるから!」


「みんな楽しそうで良かったわね」

「うん、本当に」

ワイワイと楽しそうに話すみんなを見て次に回ってくる誕生日は誰だったかな、と考えつつ僕はテーブルに料理を並べていった。


翌日が土曜日で休みということもありこの日は結局深夜まで盛り上がってしまい全員僕の家に泊まることになった。





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