閑話 リョータの優雅な日々 その1



「お〜い、皐月!もう帰るのか?」

「うん、今日は水曜日だからね」

 俺はいそいそと帰り支度をしている友人、立花皐月に声をかける。


 ああ、そうか。今日は水曜日だったな。


「彼女持ちは大変だな」

「リョータには言われたくないけどね」


 皐月とそんな会話をしながら校門で別れる。

「じゃあ、また明日」

「おう、またな」


 そして俺は、彼女たち・・の待つ、駅前に向かう。若干足取りが重くなるのは仕方のないことなんだろう。


 なんてったって・・・


「あっ!リョータくん!ここだよ〜」

「リョータさん、学校お疲れ様です」

 駅前に着いた俺に駆け寄ってくる2人の女の子。


 ショートカットで活発な感じの女の子が夏木杏奈。

 で、ロングヘアのおっとりとした子が瀬尾梓。

 2人共、美人と言って間違いはないと思う。


「ごめん、ごめん。待った?」

「ううん、私達もさっき着いたばかりだよ」

「そっか、ちょっと雨降りそうだし地下に降りようか?」

「「うん」」

 そう言って俺の右手を杏奈が左手を梓が握る。

 さん、とかちゃんで呼んでいたんだが、2人の希望で呼び捨てにすることになってしまっている


 いつもながら周囲の視線が非常に痛い。


 つまり・・・


 俺は、今2人と付き合っていることになってしまっているのだ。






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