第35話 花火大会の日曜日



「え〜っと?なにこの状況?」

「皐月・・・むしろ俺が聞きたい・・・」

「お兄ちゃん!チーレムのひと?」

 ぐはっ。リョータは崩れ落ちた。


「あら、やっぱりこうなったのね?2人共」

「九条先輩!こんばんは。う〜ん、そうですね。梓ちゃんがついてくるって言うから」

「え〜ついてきたのは杏奈ちゃんだよ〜」


 訳を聞くところ、リョータをお祭りに誘った杏奈ちゃんと梓ちゃんがどちらも譲らず結果3人で来ることになったらしい。


「よかったじゃん、リョータ。両手に花だよね」

「皐月〜周りの視線が痛いんだ。お前の気持ちがちょっとわかった気がする」

「あはは、だろう?」

「てゆうか、この子は?」

「ああ、紹介してなかったね。僕の妹で緋莉。緋莉、こっちはお兄ちゃんの友達でリョータ。こちらの2人は鈴羽の友達で杏奈ちゃんに梓ちゃん」

「こんばんは!立花緋莉です!お兄ちゃんがお世話になってます!」

「「きゃ〜可愛い!!」」

「皐月・・・彼女は美人で妹が美少女って、お前・・・どこのチーレム野郎だよ?」

 リョータお前説得力が全くないからな、それ。


「あっ!ほら、そろそろ花火が上がるみたいよ!」

 河川敷では準備の人たちが打ち上げの用意を終えていた。


 ヒュルルルルル〜〜



 ドォ〜〜〜〜ン


「「ワアァァァァ〜〜」」


 次々と打ち上げられる色とりどりの花火。


「これは・・すごいね」

「ええ・・」

 僕達は、夜空に咲く花火を時間も忘れて見上げていた。

 いつのまにか僕の右手は緋莉が、左手は鈴羽がしっかりと握っていた。


 30分程で全ての花火が上がりやがて最後の花火が夜空に散っていく。


「綺麗でした」

「ほんと、会社の屋上からとは違うわね」

「確か、来たかいがあったな」

 リョータと2人は夜空を見上げて感嘆をもらす。


「お兄ちゃん!すごかったね!どーんがひゅるるーでばーん!だったね!」

「擬音ばっかでイマイチだけど、言いたいことはわかる」

「あはは、緋莉ちゃん、来年も一緒に来ようね?」

「うん!お姉ちゃん!」

「皐月・・家族感がハンパないな?」


「それじゃ、九条先輩!私達はこれで」

「あら?そうなの?」

「はい、まだみて回りたいところもありますし〜」

「屋台もあまり回れてないので」

「じゃあ、2人共頑張ってね」

「「はい!」」

「皐月君もまたね」

「はい、リョータのことよろしくお願いします」


 2人に連れられて去っていくリョータがこちらを振り向いたがそっと知らん顔をしておいた。


 何故なら僕の頭の中ではド○ド○が流れていたから。

 荷馬車に揺られていく感じのやつね。


「ふふっ、リョータ君も大変ね」

「鈴羽、リョータが○ナ○ナに見えたよ」

「あはは、あら?」

 鈴羽に言われて横を見ると緋莉がうとうとしている。


「ずいぶんとはしゃいでいたからなぁ」

「緋莉ちゃん楽しかったかしら?」

 鈴羽が緋莉の頭を撫でながら言う。


「もちろん、楽しかったと思うよ。あんなはしゃいでるのは見たことないしね」

「そう、良かった」


 すっかり寝てしまった緋莉をおんぶして僕達は帰路についた。


 緋莉にとっていい思い出になったかな?







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