第31話 悩むリョータの水曜日
リョータと遊びに行ってから数日後。
僕のうちにリョータが来ていた。
「で、リョータ的にはどうだった?僕にはいい感じに見えたけど?」
「ううん、そうなんだけどな。皐月はほら?恋愛については先輩なわけだろ?どうしたもんかと思って」
「先輩かどうかはわからないけど、どうしたんだ?」
「あ〜、その、なんだ」
いつも無駄に元気なリョータにしては歯切れの悪い返事がきになるなぁ。
「あのあと、2人を駅まで送って行ったんだけどな、昨日さ、メール来たんだよな。遊びに行きませんかって。2人ともから」
「3人でってこと?」
「いいや、それぞれなんだ。初めは嬉しくて舞い上がってたんだけどさ、どっちともっていいのかって思ってさ。同僚なんだろ?あの子達って」
ああ、これか、鈴羽が言ってたのは。
「ふ〜ん、別にいいんじゃないかな?付き合ってるわけじゃないんだし2人ともわかってると思うよ」
「そうかなぁ、そうだよな。よし、ありがとうな!」
「リョータならてっきり、『ハーレム展開だぜ!ヒャッハー』みたいに言うと思ってたんだけどね」
「あのな、俺もそこまで馬鹿じゃねーし。ともかくサンキューな!」
「ああ、頑張ってな」
「・・・なことがあったんだよ」
いつものよう仕事帰りの鈴羽にコーヒーを淹れて、隣に座る。
「へ〜、リョータ君て意外と真面目なんだね。」
「そうだね。いいやつであるのは確かだね」
「ふふふ」
鈴羽が目を細めて笑う。僕おかしなこと言ったかな?
「杏奈ちゃんと梓ちゃんて、見た目は正反対なんだけど男性の好みはびっくりするほど同じなのよね〜よくあることだから心配いらないわよ」
「へ〜、杏奈ちゃんは活発な感じだし梓ちゃんはお淑やかって感じだよね。意外だな」
「皐月君?私はどんなイメージだったの?」
「えっ?」
「初めて会ったとき、どんな風に思ったのかなぁ〜って」
「初めて会ったときかぁ・・」
ずっと遠くから見てるだけだったんだよな、あの頃は。話しかけるなんて思いもしなかったし。
「そうだね、仕事が出来る年上の美人のお姉さんって感じかな?」
「ふふっじゃあ今は?」
僕の肩にもたれて上目遣いで尋ねる。
「え〜っと、甘えん坊で可愛いひと?」
「え〜何それ?そんなに甘えてるかな?」
僕の首に両手を回しておでこをくっつけて聞いてくる鈴羽。
「うん。たぶんね」
唇と唇が触れるギリギリくらいで、答える。
「うふふ、そっ・・・ん・・」
「たぶんだよ?たぶん。」
「皐月君は、イジワルになったわよ?」
「そうかな?」
「ええ」
「キライになるかな?」
「なると思う?」
「いいや、思わない」
唇を重ねながら、そういえば初めてのキスはカレーの味だったんだよなと思いだしていた。
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