第14話 明日の約束とてんぷらと土曜日

 7月に入りすっかり外は暑くなり期末試験も終わり後は夏休みを待つだけといった感じになってきた。


 いつものように仕事終わりの鈴羽とリビングで寛いでいると(最近はすっかりうちに寄って帰るのが普通になっている、因みに晩御飯は僕が作ってる。どうやら鈴羽は料理が得意じゃないらしい)


「皐月君、明日、何か予定ある?」

「うん?何にもないよ。」

「久しぶりに日曜日お休みだからどっかにお出かけしない?」

「・・・うん!いいよ!」


 日曜日休みって付き合いだしてから始めてじゃないかな?休日が合うこともなかったし、ゆっくりとデートできるのって初めてだよな。


「何か変な間があった気がするけど?」

「えっ、いや、初めてだなと思って。休日に2人で出掛けるのって」

「ほんとだ・・・」


 鈴羽は膝を抱えて赤くなってモジモジして照れてる。うん、今日も安定の可愛さだね。


「じゃ、じゃあ明日の朝、車で迎えにくるね。海の近くに新しいファッションモールが出来たらしいからそこに行こっか?」

「そういえば、鈴羽は車で通勤してたんだっけ?」

「うん、そうだよ。最近は電車のほうが多いけどね。ほら、皐月君のとこに寄って帰ると会社まで戻らないといけないし・・・」


 鈴羽の勤める会社は駅の向こうにあるから、結構時間かかっちゃうから、電車なのか。


「うん、じゃあ明日の朝楽しみに待ってるね」

「皐月君とデート・・・」

 聞いてないね?まぁそれだけ楽しみにしてるということで。


「さてと、明日の予定も決まったし晩御飯でも作ろうかな」

「今日は、何?」

「うん、こないだ安売りで野菜と魚介を買ってきたからてんぷらでもしようかなって思うんだけど、鈴羽は好き嫌いある?」

「お〜、てんぷら!好き嫌いはないから全然大丈夫だよ」

「よし、じゃあちょっと待っててね」

「は〜い」

 始めは色々手伝ってくれてたんだけど、すっかり料理は諦めたみたいだ。壊滅的に苦手みたいだったから・・・


 僕はキッチンに向かうと冷蔵庫から材料を出していく、カボチャ、玉ねぎにサツマイモ、獅子唐ししとう、うずら卵もあったかな、鶏肉と豚肉、豚肉はアスパラ巻きにしようかな。確か冷凍庫に海老もあったはず・・・

 油を熱してる間にバッター液を作って、衣をつけていく。

 ジュワァっといい音を立てて、てんぷらを作っていく。うんうん、いい感じだ。

 てんぷらつゆに、塩とマヨネーズ。意外とてんぷらにマヨネーズって合うんだよね、僕も最初はビックリしたんだけど。

 塩は、赤岩塩と抹茶塩を用意した。


 ご飯は炊き込みご飯にしとけばよかったなぁ、今度は用意しとこっと。



「出来たよ〜鈴羽、ごめん、ちょっと持っていってもらえるかな?」

「は〜い、う〜んいい香り。うわぁ相変わらずすごいね!私には無理だ・・・」

「ははは、前にも言ったけど1人暮らし長いし料理も好きだからね」


「さぁ食べようか」

「「いただきます」」


「うん、このサクサク感がいいね!もうちょっと粗めのパン粉があったら違った食感になったんだけど、それは次ということで」

「ふふっ充分に美味しいよ。ところでてんぷらにマヨネーズなの?」

「うん。意外と合うんだよ、肉系には。」

「へ〜、じゃあちょっと・・・」


「どう?」

「うん、美味しい!鶏肉と相性ばっちりだね、家に帰ったらお母さんに教えてあげよ」

「・・・作ってみようとは言わないんだね?」

「うっ、イジワル」


 うんうん、幸せな食卓だなぁ。僕、今めっちゃ幸せだよね?

 てんぷらをどの薬味で食べようか悩む鈴羽を見ながら、僕は料理が得意でよかったと心から思った。


「「ごちそうさまでした」」


「う〜ん、お腹いっぱい、動きたくないよ〜」

 ソファで僕にもたれかかって満足そうに足をパタパタさせる。

「お気に召したようでなによりです」

 僕は鈴羽の頭を撫でつつ、おどけて見せる。

 鈴羽が家に来るようになって、いつもスーツじゃ堅苦しいということで色々と普段着を持ってきている。

 今は淡いピンクのスウェットを着てる。


 仕事中とオフはしっかりと切り替えることにしたらしい。会社の人が見たら別人に見えるんだろうなぁ・・・



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