第23話 魔女と謎の少女再び1
「何よこれ……」
この日、起床して、郵便受けを見たウォルタは、中に一通の手紙を発見した。そして、その手紙の内容を読んで絶句した。
「どうしたんだ、ウォルタ?」
起床したフレイがあくびをしながらウォルタに尋ねた。
「大変よ、フレイ! この手紙を読んで!」
ウォルタはまだ寝ぼけまなこのフレイに手紙を押し付けた。
「……ん、何々?」
手紙の内容はこうだった。
ウォルタさん、フレイさんへ
お二人ともお元気ですか。突然ですが、あなた方と親しい中である、アンという名の少女を連れ去り、こちらで監禁させてもらいました。彼女を解放してほしければ、サラ川にある、一番大きい滝まで、お二人だけで来て下さい。間違っても助けを呼んではなりませんよ。彼女の命が惜しいのならばね。
ニールより
「……おい、ウォルタ! なんだよこれ、アンが誘拐されたってことか!」
フレイはウォルタの肩を掴んで言った。ちなみに、アンという少女は、以前、二人の仕事に同行した、二人の大ファンの少女のことである。
「……その手紙の内容が本当ならそうなるわね」
ウォルタは冷や汗を浮かべながら答えた。
「くっそ! しかも、このニールって、前にトト遺跡でウチらを罠にはめた奴だよな?」
「ええ、そうよ。ウチらにならともかく、無関係なアンにまで手を掛けるなんて……」
ウォルタは唇を噛み締めた。
「許さねえ、人質なんて汚いマネして……ウォルタ! とっととその滝とやらに行こう!」
フレイがウォルタの目を真っ直ぐ見て言った。
「……はっきり言って、これは私たちを誘いだすための罠。けどもし、本当にアンが囚われているというのなら、助けないわけにはいかないわ。フレイ! 急いで準備して、出発よ!」
「ああ!」
二人は早急に支度をすますと、自宅を飛び出し、アンが囚われられているという、サラ川に向かった。
「サラ川で一番大きい滝、ここね」
ウォルタとフレイはサラ川にある、とある滝の下に到着した。
「とはいえ、アンもニールも姿も見当たらねーぞ……おーい! 隠れてないで出てこい!」
フレイは周囲に向かって大声で呼びかけたが、返事は帰ってこなかった。
「……まさか、イタズラじゃないだろうな」
フレイがウォルタの方を振り向いて尋ねた。
「いいえ、手紙の差し出し人が彼女である以上、そんな意味のないことはするはずがないわ。きっとこの場所にアンと一緒にいるはず……」
ウォルタはそう言って周囲を観察した。そして、滝の裏の岩盤に、ある違和感を覚えた。
「この岩盤、ある部分から色が変わっている……まさか!」
「どうしたんだ ウォルタ?」
「フレイ、ちょっと滝から離れてて!」
そう言うとウォルタは腰のホルスターから魔法銃を取り出し、滝に向けて構えると、引き金を数回引いた。すると、弾丸の命中した滝の裏の岩盤の一部が、いとも簡単に崩れ落ち、その跡から、小さな洞窟のようなものが現れた。
「……洞窟? 滝の裏に」
フレイはその洞窟を覗き込んだ。
「間違いないわ、おそらく二人はこの先にいる」
ウォルタは洞窟の中に足を踏み入れた。
「だろうね。待ってろよアン!」
フレイもその後に続いた。
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