第8話

 少年が暮らす国は、二つの勢力で構成されている。

 女神を敬愛する神官出身の者たちと、女神を軽んじる貴族の者たち。

 政治の場にか弱い女性は不相応と考えられて、男性が支配しているが女神派の者たちは女性を重んじて女性を優遇する傾向が強い。

 強者が弱者を守るべきと考える者で世の中が満ちているとは言い難く、弱者に施しを与える事を嫌う者も存在するが、神官出身者から偉人が生まれる事が多い事から、女神の影響力は強く、弱者を重んじる女神の提言を真っ向から逆らう利点が少ない。

 慈悲深い女神様を弱者は指示している事から、貧困層の指示を得たい時は神官出身者や女神が国政で利用される事が多い。

 貴族や王族にも女神を敬愛する者は存在して、その殆どが夫や先祖に神官出身者が存在する。


 国は王が治めているが庶民の拠り所に神官や女神様が存在している。


 王族の母親と神官出身者で厄災から町を立て直した英雄の父親を持つ少年は、産まれた時から女神派に属している。

 少年が通う王立学校には両派閥の生徒が通い仲が悪い事で有名。


 女性は結婚する役目が有ると考えられ、仕事を行う女性は結婚相手が居ない女性として不出来と評される事から、仕事を学ぶ学校に女生徒は居ない。

 女性の仕事は裁縫などの女性らしいと考えられている内容が多く、国政に携わる女性は存在しない事から、女神派が女性の代弁者に成っている。


 父親から女性と交流する方法を学んだ少年は女性に対して実践して概ね良好な反応を得ているが、意中の相手からは良い反応を得られていない。

 積極的な少女は受動的な相手に最適な手段は通用せずお友達の関係から変わる事が出来ていない。

 友達で居られる事は嬉しいが、異性と意識されない残念さは抱き続けている。

 変わらぬ関係に危機感を抱いたのは、数年前に何処かへ行った虐めっが強くなって帰って来て、少女へ好意が有ると察してから。

 神官に成らずとも家を継ぐ勉強を行う学び舎に通えた事から神官に成らなかった少年は、恋が出来ぬ神官の男子より好条件だと考え、早急に少女と恋仲に成らねばと考えているが妙案が浮かばない。

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