第33話
33
「みんな、どうしたの?」朝のホームルーム。ほとんどの生徒が疲れた様子で、担任の加納久美子は驚いて訊いた。
「先生、知らないんですか?」最前列に座る相馬太郎が答えた。知らないのを咎めるような口調だ。
「何があったの?」
「篠原麗子の家で事件があったらしいですよ」
「え、篠原さんの家で?」今朝、彼女の母親から娘の具合が悪いので今日は休ませますと連絡があった。詳しいことは言ってくれなかった。だけど、それがどうして生徒全員に関係しているのか分からない。
「もう町中が大騒ぎで眠れませんでした」新田茂男だった。
「え、そんなに?」加納久美子は視線を相馬太郎から彼に移して応えた。
「救急車とかパトカーが、サイレンを鳴らしながら騒々しく町中を走り回るんです。家の犬が吼えまくって大変でした」
「知らなかった」
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