そして演者は静かに眠る

夜月 祈

第1話 ある少女の手紙

 誰かが言った。運命は変えていける、諦めなければ幸せなことが起こると。

 けどそれは全員に与えられるわけでは無い。


 彼は一枚の手紙を見ていた。


 【どうして私は今あなたの隣にいないんだろう。

  悔しいな。本当はあなたの隣にずっといたかった。

  あの時、好きだって伝えることが精一杯で、

  結局、最後に見れたのは君の泣き顔だったね。

  今はもう君に触れることが出来ないけれど、

  だからどうか、この先の未来が貴方にとって

  幸せでありますように。


  そして、もしいつか未来で出会うことがあるならば、

  その時は、いつかきっと—―  星宮桜乃】


  その手紙は湿っていたのか、微かにしわが出来ていた。


    

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