精霊たちの会話

第1話

立春

暦の上では春になるが、季節はまだ冬。

なので、寒い方がいいのだが、今日はとても、暑い。

地球温暖化の影響か？

「ねえ、もう少し寝かせておいてよ」

「君は？」

「春の精霊」

「春の精霊？」

【春】にも、精霊がいるんだ・・・

「これも、あなたのせいよ」

「どうして？」

「あなたたち、人間が環境を破壊するから、地球が反撃を開始したのよ」

「僕に言われても・・・」

「責任、とってよね」

どう取れと？

「わかったよ、連れてくる」

「誰を？」

「冬の精霊」

「知ってるの？」

「ああ、今うちにいる。連れてくる」

僕は冬の精霊を連れてきた。

どうしているのかは、禁則事項。

「やあ、春さん。久しぶり」

「久しぶりじゃないわよ。あなたが怠けるから、私の仕事が多くなったのよ」

「まあ、春さん、怒らない。老けるわよ」

「私たち、精霊は歳を取らないわよ」

「そうだったわね」

和んでいるようで、何より。

「和んでないわよ」

そう？仲がいいと思うが・・・

「わかった。こうなったのは、人間の責任。

僕にも責任がある」

「うん、関心関心」

春の精霊に褒められる。

「じゃあ、冬の精霊にも、仕事させればいいんだね」

「うん、そうだよ。どうするの？」

僕は、提案を出した。

そして、冬の精霊を、ある場所へ案内した。

「あの・・・ここは？」

「北極、ここなら１年中お仕事ができます」

「いや、そういう意味じゃ」

「では、ごゆっくり」

こうして、冬は仕事をすることになり、春にも満足してもらえた。

僕は親切。

めでたし、めでたし。

「ちっとも、めでたくない」