137 地下の洞窟Ⅲ
――――エミリーが見た祭壇に描かれた陣が今調べている陣に類似するものと一致するのだったら早急に進めなければならないな。
「それにしてもお前の方は大丈夫なのか?」
「何がですか?」
「さっきも訊いたが、明日もやれるんだろうな」
「はい。大丈夫ですよ。これでもあなたよりかは体力ありますし、身体能力が高いですからね。心配しないでください」
「分かった。でも、寝ろよ。布団に潜ればいつのまにか寝ているからな」
「はい、分かっていますとも。それじゃあ、先にお休みをいただきますね」
「ああ、お休み」
デミトロフはそう言い残して、再び隣の部屋に入った。
エミリーは、ベットの中に潜り毛布をかぶってゆっくりと目蓋を閉じた。
――――明日は早いと言ってももうすぐ、明日が目の間にやってくるんですよ。
――――後三分、後三分で今日が終わり、新たな今日が始まる。
――――ジョンは、分かっているのでしょうか?
エミリーは、そのまま吐息を立てながら眠りについた。
× × ×
「それにしてもデミトロフ。昨日の夜、彼女と何を話していたんだ?」
ハウロックが、デミトロフに訊いた。
「まあな」
「まあなって、お前なぁ……。俺にも教えてくれたっていいだろ?」
「分かっているが、今は余計な事を考えたくはない」
デミトロフは、資料を確認しながらそう言った。
「ふーん。それにしてもそうなると進展なしだな……」
「…………」
「お前が抱えている何かを俺に教えてくれさえすればこの謎も解読できるのかもしれないのにな」
「…………」
ハウロックは白々しく、デミトロフに吐かせようとするが、ことごとくスルーされる。
「おい、話せよ。俺がここまでして遠回しに訊き出そうとしているのに……」
ハウロックは、深々と溜息を漏らす。
「はぁ……」
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