136  地下の洞窟Ⅱ

「おいおい、呼び出しておいて、それはないだろ。何か気になることがあったんだろ?」



「はい……」



 エミリーは、少し間をおいて、呼吸を整えた。



「では話しましょう。少々話は長くなりますが、しっかりと聞いておいてくださいね」



「分かった。簡潔に述べろよ」



「今日、地下室道を通ったのですが、一つおかしなところがありました」



「と、言うと?」



「それは錬金術で作られた壁がありました。それを壊してみると隠し通路があり、奥には見たことのない祭壇が建てられてありました」



「地下に祭壇だと? それは初耳だな。調べ終わったら壁は錬金術で修復したか?」



 デミトロフが訊く。



「はい」



「それならいい」



 デミトロフはエミリーにしっかりと確認し、小さく頷く。



「それでその祭壇には何かあったのか?」



「あれと同じ似たような陣がありました」



「何?」



 デミトロフは驚く。



「似ているようでそこまで似ていない。陣なのですが……なんと説明すればいいのでしょう。つまりは祭壇なので何かの儀式に必要な陣かと思われます」



「そうか……地下にそんなものが……」



「あまり驚かないのですね」



 エミリーはデミトロフの表情を見て、そう言った。



「いや、驚いてはいるさ。だが、それを今どうするかっていうのは難しい話だ。もし、その陣が類似するものであるならば、この陣の謎を解かないかぎり、次のステップには進めない」



「そうですね。分かりました」



「だが、それが大切なのは俺も分かっているつもりだ」



「では、どうするのです?」



「そのままにしておいてくれ。この解読が終わればそちらもするとしよう」



 デミトロフは、顎を触りながらそう答えた。



 また、一つ増えた謎の陣。



 謎に謎が深まるノーマン・オリファン。



 二つの理が繋がっているのは確かである。



 ――――また、面倒なのが増えたな……。

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