132 真理の行き先Ⅴ
「それで今日はどうだった?」
「相当ハードな訓練でしたよ。体中のあちこちが痛いです」
「そうか。他に何かわかったことはあるか?」
「今のところはありません。他の生徒尾しっかりと訓練を受けていますから……」
「分かった。引き続き明日も頼むぞ」
デミトロフは、風呂場を後にしようとした時、
「ありがとうございます」
「何が……だ?」
「私の負担を考えて、その半分の負荷を自分が背負ったんですよね」
シャワーの音で聞こえにくかったのか。デミトロフは、こう答えた。
「何のことだ? シャワーの音でよく聞こえなかった。とっととシャワーを浴びて、軽めに夕食を食ったら暖かくして寝ろよ」
デミトロフは、そっと扉を閉めた。
風呂場でシャワーを浴びていたエミリーは、少し顔を赤らめた。
――――あなたもらしくない事をしますね。
――――本当は体が重くて、今にも苦しそうなのに……。
――――分かりました。明日も出来るだけ探って見せますよ。
エミリーは、シャワーを止め、タオルで自分の髪や体を吹いた。
「ふぅー……」
「どうした? そんなにダルそうな顔をして、彼女と何かあったのか?」
「いや、何もない。それよりも少しは進んだか?」
「まあ、片付けてからお前がここに来るまで半歩くらいは前に進んだぞ」
ハウロックは床に座り、壁に寄りかかりながら大きな欠伸をした。
「ま、あと一日と少しも時間があるんだ。気楽にやるしかないだろ?」
「そうだな。俺も早く錬金術を解き明かして、間に合わせないといけないからな」
デミトロフはさっそく資料を手にして、何も書かれてない紙にペンを走らせた。
× × ×
合同演習・三日目————
「ええ、ここで重要な話がある」
と、教師が集められた生徒たちの前で口を開いた。
「偵察をしている偵察部隊からだ」
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