133  真理の行き先Ⅵ

「きょう未明、予測される進路をかなり大幅に遅れて進行している恐れあり。距離から計算をして、明日も演習を行い、戦闘は明後日以降となる予想だ」



 教師はそう告げると、生徒たちは各自、自分たちの場所へと移動する。



 ――――やはり、何かおかしいですね。



 ――――昨日、少し職員室や地下道、地下室を探った甲斐がありました。




     ×     ×     ×




 昨日————



 エミリーは、職員室に潜り込んでいた。



「人がいませんね。教師は……そうですか、皆さん外に出ているのですね。だから、扉に鍵がかかっていたんですか……」



 鍵穴をヘアピンで簡単に開け、職員室に入ったエミリーは教師たちの資料を勝手に見ていた。



「それにしてもこんな物騒な時に良く職員室を空にできますね」



 エミリーは様々な資料を探している中、一枚の紙に目が止まった。



 ――――これは錬成陣? それとも魔法陣かしら?



 ――――一応、メモに取っておきましょう。



 エミリーは手帳にその陣を描き写し、教師たちが戻ってくる前に職員室を後にした。



 ――――それにしてもこの陣、なんでこんなのが職員室にあったのでしょうか?



 ――――この学園の地下に潜ってみましょう。



 エミリーは階段を伝って、一般の地下道を通る。



 やはり、地下は外よりも気温が低く寒い。



 地下水道は、何もなく自然に普通と流れていた。



 ――――どうやらここには何も変な場所が無いようですね。



 ――――どこからどこまで同じ形になっています。



 ――――奥まで来た意味が無かったようですね。帰りますか……。



 エミリーは、灯りを小さくして、元来た道を戻ろうとした。



「あれ? なんだか、ここの手触り変ですね?」



 エミリーは何かに気づく。



 右手に触れる感覚が何かおかしい。



 灯りをその壁に当てる。



 一見、普通の壁に見えるが、何かあった後には間違いない。



 足元を見ると、どこかで見たことのあるような跡。



 錬成された後だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る