120  二人のバラガキⅦ

 エミリーは開き直って、総司を始めた。





 隣の部屋に入ったデミトロフは、部屋の明かりを点けた。



「うわぁ、なんだよ、この大量の物は……」



 デミトロフは、中を改めてみて驚いていた。



「確か、この部屋に入ったのは半年以上前だったよな。どれだけ、いろんなものがここに置いてあるんだよ。ほとんどが俺の物ばかりではないか」



 ゴミ山の倉庫の中からエミリーの手帳を探し出す。



 壁一面には本棚が設置してあり、今までに読みつくした錬金術の本や魔法書などが並べてある。



 床にはダンボール箱や積み上げられた本、錬金術に使用した道具が綺麗に置いてあった。



 ――――い、意外と綺麗にしてあるんだな。驚いた。



 部屋全体を見たデミトロフは、さっそく本棚から見て回る。



 近くに置いてある木箱の土台に載り、上から下へと一冊ずつ見る。



 探すのにも一苦労だ。



「エミリー、お前の手帳って何色だ?」



『黒色の手帳ですよ‼』



「黒ってたくさんあるんだが……」



 掃除機の音よりも大声でエミリーに質問すると、返事が返ってくる。



 黒手帳と言われても、同じような色をした本がたくさん並んである中で、どれを探せばいいのか全く見当がつかない。



「ん?」



 デミトロフは、振り返ると、同じサイズの本が棚の下から二番目の場所にずらりと並んでいるのに目がいく。



「これか?」



 しゃがみ込んで、床に座り、本に手を伸ばす。



 七十ページ弱の薄い本を開くと、手書きで書かれたメモ帳だった。



 当たりだ。



 ――――って、これってある意味日記じゃないのか? それもこれって初等部の頃からすべて細目に書いてあるな。



 デミトロフは、一ページ、一ページずつ読みながらエミリーが調べてたこの学園に関する事が書いてある場所を探す。



 ――――これを読んでいると、なんだか俺がほとんどやばい奴としか書いてないな。



 一日一日の日程や自分の行動、様子が書いてあり、他にも重要事項が書いてあった。

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