117 二人のバラガキⅣ
自然体に話している男性教師は、エミリーが言うようにそこまで怪しいという人物までではなく、なんとなく違和感はあった。
「エミリー、お前がそうだと言うなら、あいつの事を監視しておいてくれないか?」
「分かりました。出来る範囲内でやっておきます」
エミリーの顔は少し不安を隠しながら、制服のポケットからメモ帳を取り出して、ペンを持ち、何か書き始めた。
呼ばれた生徒たちが行く先は、学校内に三つあるうちの一つ、中等部校長室である。来年の春には、ここを卒業し、高等部へと進級するのだ。
――――確かにエミリーの感は、良く当たるんだよな。
――――そんなことはないと思いたいが、念のため、俺も一つ仕掛けてみるとしよう。
デミトロフは、フッと微笑みながら廊下を歩いて行った。
× × ×
校長室内では闇の集団に関する情報が、開示された。
「ですので、君らには学校内の警備及び、高等部と援軍に来る軍人と共闘してもらう形になります。他の一般生徒たちは、地下のフィルターに逃げてもらい。事がするまでは決して地上には上げません」
と、校長室に集められた四十人弱の生徒たちは、約十分程度の話を受け、ざわついていた。
無理もない。いきなり、そんな事を言われて、はいそうですか、と承諾する生徒はいないだろう。
「一つ質問、よろしいでしょうか?」
一人の女子生徒が、好調に質問した。
「何でしょうか?」
「なぜ、この学校に闇の集団が襲ってくるのかが分かりません。何か目的があってくるんですよね。何か隠していることがあるんじゃないのですか?」
確かにそうだ。何か、目的が無ければこの学校に来るはずがない。
「私の口から言わせてもらいますが、現段階では私にも分かりません。この学校は、魔法と錬金術、そして、一般科目を学ぶところです。もし、仮にこの学校内に我々の知らない何かがあるとするならば、一部の生徒には情報を提供するつもりです」
「そうですか……」
校長の説明に女子生徒は少し疑問を残しながら納得する。
「ですが、本当に敵が何の目的でこちらに侵攻してきているのかは、現段階で何も分かりません。今は皆さんが頼りです。教師の皆さんと共に学校を守ってください‼」
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