116  二人のバラガキⅢ

 ハウロックは、エミリーを見る。



「確かにそれはおかしいな。俺や貴様はともかく、エミリーまでもが呼び出されるのは、あまり納得いかないな」



「そうですね。私はあなたが呼び出されている方が変だと思いますよ」



「おい。それは俺が役立たずやろうとでも言いたいのか?」



「はい。そう言っていますが、聞こえていませんでしたか?」



 エミリーは、デミトロフを見る。



「ああ、そうかい。でも、そうなると俺とエミリーは二人でワンセットということになるのか?」



「そうなりますね。ジョンは、たまに変なところに突っ込む時がありますから……」



「ちっ……めんどくせぇ」



 デミトロフは、舌打ちをして食器を片付け始める。



「ははは!」



「笑ってるんじゃねぇーよ」



 腹を抱えながら笑うハウロックにデミトロフは言う。



「それよりも早く行った方が良さそうだな。呼ばれた生徒が次々と移動してやがる。緊急事態っていうのは本当らしいぞ」



「そうだな。ま、聞くだけは聞くとして、後は自分で判断するとしよう」



「ジョンの言う通りですね。話によっては辞退することも考えなければなりません。判断はそれからにしましょう」



 エミリーは立ち上がって、三人は食器を片付けると、呼ばれた教師の下へと歩いていく。



「先生、私達はどこに行けばよろしいのですか?」



「今すぐに中等部の校長室に行ってくれ。話はそれからだ」



「分かりました。校長室ですね。ありがとうございます」



「早く行くんだぞ」



 教師が言ってた通りに校長室へと向かう。



「なんだか、あの教師、嫌な感じがしますね」



「どういうことだ?」



 エミリーの疑問にデミトロフが喰いつく。



「一見、普通の教師に見えますが……雰囲気がなんとなくですね……」



「気のせいじゃないのか?」



「そうだといいのですが……」



 エミリーとデミトロフが話している横で、ハウロックがチラッと後ろを振り返り、さっきの男性教師を見た。



「…………」

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