047  ウエストシティの内戦Ⅹ

「本当に? 行くよ!」



 裕也は抱きかかえる準備をすると、穴の中から二葉が降ってきて、しっかりと抱くが、あまりにも重力加速度に地面すれすれでキャッチした。



「お、重い……」



 裕也は思わず口にした。



 腕がちぎれそうで、感覚や神経が研ぎ澄まされていく。



 二葉は抱きかかえられながら裕也の襟をぐいぐいと引っぱる。



「どうした?」



「……ユーヤぁああ」



「うわぁ! ど、どうしたんだ、二葉‼」



 二葉に睨みつけられる裕也は、驚いた。



「ううん。何でもない……」



 二葉は裕也と目を合わせようとしなかった。



 ――――なんで無意識に女の子を重いって言うかな?



 二葉は、裕也の腕からゆっくりと降りて、黒のストッキングについた誇りを払い落し、立ち上がる。



 ――――俺、何か不味い事でも行ったか?



 未だに自分が発現したことを思い出せない裕也。



 この地下水道は町全体の全てをつなげており、ここの設計図を持っていなければ目的地にたどり着くことは出来ないようになっている。



 地下はあまりにも暗く、前に何があるのかはっきりと見えない。



 裕也はアイテムボックスからイヤホンと発信機用の器具を取り出し、画面の電源を入れる。中央で点滅しているのが、今の現在地を示しており、左上に点滅しているのがさっき店にいた男に取り付けた発信機である。



「ユーヤ、それは何?」



「ああ、さっきの男に取り付けおいた発信機だ。どうやら乗り物で移動しているようだな」



「二葉、俺が地図を見ながら教会まで歩くからその間にこの画面を見ておいてくれないか? 近づいてきたら教えてくれ」



「分かった。これを見ておけばいいんだね」



 二葉は裕也から機械を受け取ると、画面を見ながら裕也の後ろを歩く。



「このウエストシティの地下水道は複雑な構造になっているんだ。なぜか、曲がり角が多く、端から端までたどり着くと、そこから時計回りに水が流れ出しているんだよ。そして、この教会の真下にある入り口までたどり着くには、意外と難しいらしい」



 裕也は説明をしながら懐中電灯で前を照らしながら道を確認すると、左に曲がる。



 地図を見ても、この地下水道がどうなっているのか把握するのも難しい。

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