020 三つ子の奴隷Ⅶ
「うん。異論はない……」
「ないわね。……って言うか、私達だって、ここで暮らすのは不安だし、ここまでしてくれた奴を勝手にどこかに行かせるわけにはいかないわよ!」
双葉と一花は、三久の言葉に頷きながらこっちを見た。
三者三葉、ここまで硬い意志を持たれては、俺にどうすることもできない。それに、まあ、旅の仲間を探していたのは少し思っていたが……。彼女たちのレベルが三人揃ってレベル30ありかよ。
「それでどうなの? 嫌なの? これでも連れて行かない気でいるの?」
「い、いやぁ……。だってお前ら、やっと解放されたんだぞ。それに俺が奴隷じゃなくてもいいって言っているのにそれでも付いてくるつもりなのか?」
「あんた馬鹿? それでいいっているじゃない! 二度とそんな言葉を私から言わせないで!」
一花はどうやら、怒りやすい性格であり、その上、この三つ子の中でもしっかりと長女の役割を果たしているようにも見える。
次女の双葉は、少し無口なところもあり、何を考えているのかも分からない。これから接していけば分かるだろう。
三女の三久は、二人と違ってしっかりとしたところがある。やはり、上の二人を見ているからそうならないようにと自然に体が覚えているのだろう。
「分かったよ。お前ら、それぞれ魔法は使えるんだろうな?」
「…………」
「…………」
「…………」
三人ともそこは黙り込んでしまう。
「おい、お前らそんな事も出来ずに一緒に旅するとでも言ったのかよ……」
と、俺はフォークを置き、額に手を当てて「はぁ……」と深々と溜息をついた。
魔法じゃなくても魔術、錬金術、呪術など覚えて欲しいものだ。
「分かった。その事については今後考えるとして、これからの話をしよう」
「はぁ、それは助かります。でも、魔法じゃなくても覚えるのはほかでもいいんですよね?」
「ああ、何か覚えたいことでもあるのか?」
俺は三久に訊ねる。
「私は錬金術を学びたいですね。少々前から気になっていましたから……」
「そうか。いいんじゃないのか? 魔法と違って、あらゆる物質から変換させて、新たなものを生み出す……なんて言ったかな?」
「等価交換ことですか?」
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