011 天の災厄Ⅺ
さすがに異世界だ。街の造りが中世ヨーロッパの雰囲気を漂わせている。
「ほら、歩け! ガキども! こっちは高い金を払っているんだぞ!」
と、道の片隅で首、手首、足首に鉄の鎖で繋がれた少女・少年たちが白い汚い布地を着せられて、彼らの主人の鞭で叩かれながら小さな体で荷物を運んでいた。
この世界にも奴隷制度があるんだな……。
少し、調べてみる。
ウインドを開き、相手のカーソルを見る。
やはりそうだ。彼らは俺と同じ向こうの世界からこの異世界に飛ばされた同じ人間だ。レベルが平均で5~8。少し前までの俺もあれくらいのレベルだった。もしかしたら、俺も彼らのような奴隷になっていたのかもしれない。
やはり、ここは中世ヨーロッパが雰囲気を漂わせている。
「ちっ、嫌になるぜ……」
俺は無視したままその場を通り過ぎた。
俺だったら同じ奴隷を買い取ったらどう扱おうともあんな残虐な扱いはしないだろう。
人を物のように買い、そして、道具として扱い、使えなくなったら見捨てる。
そんなひどい扱いもこの世界では受け入れなければならないのだ。
「おい、そこのお前!」
と、俺を引き止められる声がした。
「ああ?」
「あんただよ。あんた、見ない顔だな……。どこの者だ」
と、この国のセントラルである騎士団の一人の兵に剣を突き付けられながら問いただされた。
両手を上げ、抵抗しない意思を示しながら返答する。
「セントラルの人間だ。つい最近、この街にたどり着いたんだよ」
「そうか。だが、それならここの許可書を持っているだろうな?」
「許可書? 何のことだ。ここに入るのに許可書がいるって聞いたことが無いぞ。あんた、嘘ついているんじゃないのか?」
「嘘じゃない。無許可で侵入か……。仕方がない。今回だけだ。このセントラルの中央にこのセントラルでの入場、およびあらゆることの許可が取れるはずだ。私について来い。貴様はあくまで今は侵入者扱いだ。それが嫌なら大人しくついてくるんだな」
と、剣を収め、俺の横を通り過ぎてさっさと歩いていく。
面倒くせぇな……。しかし、なんでセントラルにそんな規制が出来ているんだ? 昔、そんな事はなく不通に入れたはずだが……。
いろんなことが飛び交いながら、頭の中で整理が追い付かない。
「分かった。あんたについて行けばいいんだろ?」
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