なほあまりある 1


 学校からの帰り道、「CDが買いたい」と言いだした織田弘人に付き合って、俺は駅前の繁華街を歩いていた。


 どこからか聞こえた「ユウ~ッ」という間の抜けた声に、ピタリと足を止める。


 隣を歩いていた弘人も同時に足を止め、驚いたように俺と顔を見合わせた。


 弘人と共に首を傾げて辺りを見渡し、ゲーセンの前に座り込んでいる一団の中に見知った顔を見つける。


「おー」


 何してんだ、と声をかけると、俺の中学時代の友人、竹内 昭仁あきひとは重そうに腰を上げてこちらへとヒョコヒョコ近付いてきた。


 茶色を通り越して金髪に近い昭仁の髪が、夕陽を受けて眩しいくらいに光っている。


 揺れる髪から覗く耳にピアスを見つけ、「ああ、こいつは変わってないんだな」となぜか安心した。


「ひっさしぶり~? 最後に遊んだのって、去年の夏じゃなかったっけか?」


 相変わらずの軽いノリで、話しかけてくる。


「そーだな」


「海行ったんだったよなぁー。楽しかったなぁ。逆ナンとかされてよぉ」


「お前は溺れかけたんだよな」


「あっれは足ツッて」


「カッコつけようとすっからだろ」

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