心も知らず 14
始めはスゲェたまにだけど、笑ってくれるのがなんだかうれしかった。笑わそうと何回も話しかけてるうちに、いつの間にか、こいつの隣に俺の『居場所』が出来た気がした。
あまりに俺が付いてまわってたモンだから、当初はマジに鬱陶しかったと思う。よく学校休んでたし。
それでもある日、解けた靴紐を結び直して顔を上げると、先で俺を待ってる祐志の姿が目に入った。
あの時の『小さな感動』は、今も俺の中にある。
「お前は、知らないんだろうけどなー」
両手を頭の後ろで組んで言うと、祐志は今まで笑っていた顔をしかめて俺を見遣った。
「――何を?」
「えー? ナイショ」
揶揄うように祐志の顔を見上げて、人差し指を唇にあてる。それに片眉を上げた祐志は、不愉快そうに「フン」と鼻を鳴らした。
「俺に内緒事かよ。かっわいくねぇ」
「それはお互いサマ」
顔を背けて言った俺は低くなった祐志の声を初めて心地よく聞いた。
さっきの仕返しも出来て、なんだか気分もいい。
意味もなく蹴ってきた祐志を蹴り返して、逃げるように駆け出す。
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