第8話「輪廻」

橙「降参だ。同盟を結ぼう!!」

 姉妹の様に仲良しの左英さえを失った火室炉ひむろが和解した。操る系の魔女のグループも、火室炉ひむろ魔利有まりゅうとスージーの3人だけになった。9人の内、3人では過半数を集められない。


黄緑「OK 協力して賢者を探しましょう!」『風の魔女』も同意した。

柿「ほっ。和解できてうれしいですっ」スパイのスージーは、胸の支えが下りた気分だろう。


青「対立していたあなたたちのグループから、ふたり。狼(賢者)に狙われたのは、考慮に入れるべきね?」

橙「お、おう!! 流石はリーダー。オレの意見も受け入れてくれる……」


 急にしっぽを振ってくる。元々『炎の魔女』は可愛いいヤツだ。前回の攻城戦の一件で、対立していたが、元々、私に懐いている。そばに居れば私の膝に頭を乗せてくるくらいの”憂いヤツ”なのだ。


青「ねえ、久利須くりす。『魔女LINK』ってそんなに容易たやすく、横入り出来るものかしら?」

黄「うーん。魔女でなければ『魔女LINK』に登録できないハズなんだけど……」

青「ちょっとこの部屋に『魔法飽和空間』を創るから──ひとりずつ魔法を使ってみて……」



青「火室炉ひむろ

橙「おおう」


『魔法飽和空間』は、魔法が発動し易い環境のことだ。例えるなら、可燃ガスが充満した空間で、マッチを擦ったら爆発する。そんな空間のことだ。


 黒い球体の中で炎が上がる。確かに『炎の魔女』だ。


青「魔利有まりゅう

橙「OK」


 部屋の真ん中で、竜巻の細い渦が発生した。確かに『風の魔女』の力だ。


青「久利須くりす

黄「ハイハーイ!!」


 床の中央に、白い粘土の様なものがヒョコッと生まれた。人間の形を取ると、私に片手を振った。


青「白いスライム?」

黄「クマよ! クマちゃん──!!」


青「魔理恵まりえ

緑「わかったわ」隣に立っていた魔理恵まりえが魔法を唱える。


 学生服の美少年が現れた。


青「なんだ? これ?」

緑「昨日の添い寝の男子あいて……徳永たいらくん。美少年よ!!」

青「お引き取り願え!!」



 しばらくお待ち下さい……。



青「さーて。あとの魔女が問題だ。私とフーリンは、魔力が強いが、特徴の無い魔女だ。そして、アースは『輪廻の魔女』だしスージーは『生命の魔女』ここでは証明はできない……」


柿「たいらくんを殺して、私が復活させましょうか? なんてね……」

青「あほ……気安く使うな!!」


黒「あたいは?」

青「変身魔法か……じゃあ、鳥に変身して!」

黒「あいよ」


「カー」部屋にカラスが現れた。


青「えいっ!!」


 カラスに超大な雷撃魔法が炸裂した。


青「あ──大変だ!! スージーっ助けて!!」


 天井から、まばゆい光が降りて来る。カラスの周りに4人の天使が現れ、くるくる廻る。『生命復活』の魔法だ。


青「う──ん。いつ見ても美しい……」


黒「あほー!!」


 カラスから変身を解いた杏子あんこが猛烈に怒っている。短気なヤツだ。


黒「尾瀬子おせこお前を封印だ──!!」


 杏子あんこがとても怒っている。どうしたのだろう?


青「私が強大な魔法使いだということは、今ので証明できたはずなんだが?」

黒「んなこと関係ね──!!」

青「確かフーリンは、私よりもっと強大な魔法使いだよね? 杏子あんこで証明してみてよ!」


 杏子あんこが青ざめて逃げ出そうとした。


紫「フフ。わたしは、輪廻の後、記憶を持ち越せた事で、証明にはならなかったかな?」

青「そうだよな──?」


 残るは『輪廻の魔女』の証明。


青「一度つかってみるか? アース『輪廻』して……」

灰「フフフゥ」


 目の前の空間が一点に向かって収束し始めた。今度は記憶を残しておきたい。


 私は 杏子あんこの手を取った。ふたりの魔力を合計すれば『アース+賢者』の魔力を上回るはずだ。


 今、この空間には、フーリンと魔理恵まりえが居た。彼女たちも手を繋いでいる。

 フーリンはこの手を使って、記憶を持ち越したのだ。コレで記憶を持ち越すことの出来るのは……。



 <<<私たちは輪廻した>>>


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