探しものと見つかりもの

八重の れい

第1話 予感

山の峠から、夜景を見ている。

山の峠から、散らばる街灯のそれぞれを見ている。


明かりの一つひとつを見ていると、それらはただ光っているだけではない事に気がついた。微妙に、ごく僅かだが、瞬いている。同じ様なことは夜空の星にも当てはまる。浮かぶ星をじっと見ていると、その微かな点滅に気づく。

しかし何故、夜景としての街灯に同じ様な瞬きが見られるのだろうか。


じっと一つの灯りに目を凝らし、その灯りを凝視することに飽きたら、次の灯りを見つめる。

そうしながらあれこれ思考を巡らしていると、ある答えに行き着いた。


「そういう風につくられたから、そういう有り様になっている」


もちろん、この答えは疑問に対するある種の妥協を含んでいる。

峠に立ち、考えているだけでは、どうしてもこれ以上の答えを出すことはできそうもなかった。


そう思ったので、もう夜の街を眺めるのはやめ、傍らに寝かせておいた自転車に跨がり、真っ暗に抱かれた坂を下り始めた。

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