君が花咲くまで告白するのをやめない

 昨日、彼女に告白し、振られた。まさか振られるとは思わず、ショックの余り、言われるがままおめおめと帰ってしまった。


 あれからまる一日、何がいけなかったのか考えた。そして、気付いた。俺の告白に足りなかったのは贈り物だと。


 今度こそ、彼女はOKしてくれるだろう。


「御崎歌織! 君はこのバラの花のように美しい! 俺と付き合ってくれ!」


 この両手に抱えきれない程のバラの花束を贈られて、惚れない女などいないはず。


「お断りします。帰ってください」


 また断られてしまった。まあいい、今日のところは出直すとしよう。この花束を置いて。


「あ、すいません、ちょっと待ってください」


 彼女に呼び止められる。気が変わって、告白を受けてくれる気になったのだろうか。


「これ、大き過ぎてこんなところ置いておけないので持ち帰ってください」


 その日、バラの花束を抱えて泣きながら走る男がいると、SNS上で話題になったらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る