第28話



盗賊なだけあって

他人より身軽なカミュは

平地を走るように階段を上って行く。



それでも

途中で

ガイコツを見つけると


カミュは足を止める。



ルーナのために。




「・・・グレイスおばあちゃん」



踊り場で見つけた

ガイコツの横にしゃがみ

ルーナは声をかける。



「ルーナ、ね。グレイスおばあちゃんの『跡継ぎ』だったんだよ」



「なんの?」



「機織り」


10歳から始めて

一人で織れるようになったんだよ。



「エラいな」



ルーナの頭を撫でてやると

ルーナは勢いよく

カミュにしがみついてきた。




「なんで?なんでみんな殺されちゃったの?」



「ルーナ」



「やっぱり、ルーナ」



「は『おバカな子』」



「違うもん!」



「じゃあ『そんなこと』は言うな」



そう言って抱きすくめると


「カミュは死んじゃったりしない?」


と言い出した。



「いずれは死ぬだろうが、その予定は今のところないなー」



「じゃあ殺されたりしない?」



「その気はないな」





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