第4話



王都を出て

西に歩を進める。



小さな歩幅のルーナは

自分の倍はある

カミュの歩幅について行くのに必死だ。



それに気付いたカミュは

ルーナを抱き抱える。



「自分で歩けるよ」


「いやいや。お前の足では、あっという間に日が暮れる」


「暮れないもん!」



カミュは

ふくれっ面のルーナの頬を突っつく。



「お子ちゃま」


「違うもん!ルーナ、もうすぐ12歳だもん」


「『まだ』11歳だろ」


「『も・う・す・ぐ!』12歳だもん!」



必死に食い下がるルーナに

カミュは吹き出した


笑ったことに

また膨れたルーナは

ポカポカとカミュを叩いてくる。


チカラは弱くて

鍛えた身体のカミュには

痛くも痒くもない。


それでも大げさに痛がってみせる。



「痛い痛い。分かった。悪かったって」


「まだ笑ってるー」



ポカポカと叩く手を止めない

ルーナの身体を

カミュは

少し強く抱きしめた。



「もうおしまい」



そう言うと

「むぅー」と膨れつつ

叩く手を止める。



そんなルーナの背中を

カミュは

なだめるようにポンポンと叩いた。



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