第2話
あの時逃げた私たちは
馬に乗った男たちに捕まってしまった。
今ならいえる。
子供の足では
馬相手に逃げられないって。
馬と遊んだことがあっても
追いかけられるなんてなかったから
そんなことも
分からなかった。
マルベリーも
ナルスも
アレクも
追いつかれて
背中から切られた。
私は
押さえつけられて
剣を振り上げられた。
怖かった。
そして
パパやママやお兄ちゃん
村の大人たちから
「絶対に使っちゃダメ」と
言われていた魔法を使ってしまった。
私が気が付いたのは
冷たい石畳の上。
床に直接寝ていた。
目の前に鉄格子があって
ここは牢屋だって
私は牢屋に入れられたんだって
わかった。
静かだから
きっと村の誰もいない。
声を出して泣いちゃダメ。
そんなことしたら
また怖い人がくる。
今度はきっと
私を殺しにくる。
「おい」
気付いたら
鉄格子の向こうから
知らないお兄ちゃんが声をかけてきた。
名前はカミュ
盗賊をして捕まったと言った。
「オレと一緒にここから出るか?」
そう言われて頷いたら
鉄格子の扉を開けてくれた。
「こっちだ」
空いている牢屋の奥に
『隠し通路』があって
そこから長い通路を進んで
お城の外に出た。
帰りたくても
家の場所も分からない。
村の場所も分からない。
村の名前も分からない。
そんな私を
カミュは『隠れ家』に置いて
情報を集めに出ていった。
夕方には
見たことのないご飯と
『聞いた話』を持って帰ってきた。
ご飯を食べて
そのまま寝ることになった。
私はベッドで寝て
カミュはソファーで寝ると言った。
でも小さな私の方が
ソファーを使った方がいいと言い張ったら
「男にはカッコつけさせろ」って。
・・・言ってることが分からない。
でも「朝早く出るぞ」と言われて
ベッドに入れられた。
カミュの服を離さなかったら
ため息を吐いて
一緒にベッドで寝てくれた。
一人で寝るのが怖かったから。
夜中に何度も目が覚めたけど
カミュが
抱きしめて背中をトントンしてくれたから
すぐ眠くなったんだよ。
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