冥界の伝統は死者の運命
月環 時雨
プロローグ
死者が行く場所って、どこだと思いますか?
そう問えば、天国や地獄と答える人もいればどこにも行かないという人もいると思います。
でもそれは所詮生者の勝手な考えにすぎません。もっとも、行ったことのない場所を正確に表せ、というのは無理難題ですけれどね。
本当の死者が行く場所は、皆さんが考えるような場所ではありません。
ちゃんとした社会があって、建物があって、仕事があって。
生者のような醜い殺し合いなどは無い、平和な場所です。
今皆さんが生きている世界の死は、肉体の機能が停止するだけ。魂はここにきて生活をするのです。そしてその魂は不老であり不死でもある。
ええ、そうすると死者の世界の人口はとんでもないことになりますね。
しかし問題ありません。その魂は不死ではありますが不滅ではないのですから。
死者が住む世界では、100年に一度、魂を入れ替えるイベントがあります。
本当はそのことについて説明したいですし、死者が住む世界についてももう少しお話したいけれど、そうすると話が長くなるのでやめておきます。
それに、魂を入れ替えるイベントについてはもう少ししたら始まりますしね。興味のある方は少し見ていくのをお勧めしますよ。
イベントの直前にやってきた魂は大変です。だって、生き残れる可能性はほぼゼロに等しいですから。
あら、噂をすれば。
不幸な少年が一人、この世界にやってきました。
そうですね、この世界のことについては、この少年を見ながら知っていってもらうことにしましょう。
え、私は誰かって?
私の名はヒストリア。6体からなる神の中の「冥界の神」を務めている者。ちなみにこの世界の中では一番長く存在しているからプロといっても過言ではないですよ。
それでは、不幸な少年の最後の生きざまを、ごゆっくりご覧ください。
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