一番素敵な宝物

第1話 悪魔辞典

古本屋で、魔法辞典を見つけた。

手にとって見た・・・

「読めん」

何語だこれ？

日本語でないのは確かだ。

ハングル語でもない。

英語でもない。

何語？

やめた。戻そう。

(こら、戻すな)

だ・・・誰だ？

(ここよ、今、あなたが持っている本の中)

「な・・・」

(しー、声に出さないで。心の中で答えてくれればいいから)

(わかったよ。で、どこにいる)

(４９ページよ)

(わかった)

ページをめくる。

えーと、４９ページは、ここだ・・・

(やっほー)

(やっほーって、君は何者)

(悪魔よ)

(見えない)

(どうして)

(悪魔っていうのか、黒っぽい服を来て、角が生えていて・・・)

(いつの時代よ)

(古本の中の、お前が言うな)

新しい本ならわからなくもないが、これは古本。

新鮮な格好のほうが、むしろ怪しい・・・

(とにかく、私を買って)

(やだ)

(どうして？)

(無駄遣いは良くない)

(無駄じゃないから、買いなさい)

(やだ)

(買え)

(やだ)

(お願い)

(やだ)

(結婚してあげるから)

(断る)

(買いなさい)

(やだ)

きりがない・・・

根負けした僕は、レジに持っていた。

ここで、レジというのも変だが・・・

で、こいつを家に連れて行った。