独り立ち

勝利だギューちゃん

第1話

イラストを描くのが好きだ。

といっても、大それたものではない。


紙にさらっと描く程度。

なので、自慢じゃないが、上手くない。


でも、まれに、「なかなか、上手くかけたな」と、思う時がある。

それが、かわいい女の子なら、思う。

「このまま、飛び出して来てくれないかな・・・なんてね」

冗談を、口に出す。


「出ようか?」

えっ?誰?

「下よ下。君の下」

下を見る。


そこには、今さっき、僕が描いた女の子の絵が、動いていた。


「やあ」

「な・・・なんなんだ?君は?」

「自分で、描いておいてそれは、ないでしょ?」

「そう言われても・・・」

「で、出てほしいの?ほしくないの?」

「いきなり訊かれて、即答できるか・・・」


「じゃあ、時間あげる」

「どのくらい?」

「5秒」

「はや」


「5・4・3・・・・」

「わかった、わかりました。出てきて下さい」

「素直にそう言えばいいのに・・・シャイなんだから」

「るさい」

紙の中の、女の子は飛び出してきた。


「やあ、生み出してくれて、ありがとう。長谷光太(ながたに こうた)くん」

「何で、僕の名前を・・・」

「君の子供だもん。」

子供って・・・


「で、私の名前は?」

「えっ?」

「まさか、考えてないとは言わせないよ」

「僕が、決めていいの?」

「もち。でも、きらきらは止めてね。後、ありきたりのもだめ」

我がままだな。誰に似たのか?


「親よ」

「その親の顔が見たい」

「鏡を見なさい」

僕でした・・・


「で、名前は決めてくれた?」

「鈴城 瀬梨(すずしろ せり)」

「なかなかセンスいいね。気に入ったよ」

「・・・どうも・・・」

春の七草から組み合わせたとは、言えない。


「で、私の誕生日は?」

「2月3日」

「なんで?」

「今日だから・・・」

安直だと思う。


「私の血液型は?」

「A型」

「どうして?」

「日本人で1番多い」

安直だと思う。


「身長は?」

「159センチ」

「どうして?」

「日本人の成人女性の平均」

安直だと思う。


「体重と、3サイズは」

禁則事項です。


「あの、光太くん」

「何?」

「私、もう少し髪は長い方がいいんだけど・・・」

「我がまま言うな」

「描き足して・・・」

たく・・・


どうやって描き足したかは、自分でもわからん。


「ありがとう。じゃあ、早速変身ね」

「変身って・・・」


体が光だす。


すると、さっき設定した通りになった、女の子がそこにいた。


「命を与えてくれてありがとう。光太くん」

「どうも・・・」

「で、これからどうするんだ?」


「私はあなたの子です。責任持ってね?お父さん」

誤解を招くような事は、言わないで下さい。


しかし、作者が生み出したキャラも、やがては独立する。

想像もしなかったように、なる事も多い。


瀬梨は、もう完全に本来あるべき子になった。

そして・・・

今は、馴染んでいる。


「いい気もんだ」


両親?


知らん。

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独り立ち 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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