第3話 片付け

「あ、これって」

「どうした、懐かしい物でも見つけたか?」

「みて、これ!」

「新たな道?」

「なつかしいなぁ」

「なんの本なんだ、これ」

「これはねぇ~」

「これは?」

「これは~」

「もったいぶらずにいえよ」

「もう、慧くんは分かってないなぁ」

「はぁ、おまえはなぁ」

「これはね?」

「いうのかよ」

「これは、中学生のときに何度も読んでいた作品なんだ」

「へぇ……」

「へぇって、反応うすいなぁ」

「反応うすくて悪かったな」

「これ、ストーリーがすっごく面白かったんだよ!」

「そんなに面白かったのか?」

「うん、後で慧くんも読んでほしいくらい」

「そんなに面白いのか」

「うんうん、ヒロインの女の子がね!」

「ヒロインの女の子が?」

「――って、あれ?」

「どうしたんだ?」

「どうなっちゃうんだっけ……?」

「もしかして忘れたのか?」

「うん、読書週間に毎日読んでたんだけど……」

「じゃあ、今から読むか?」

「え? いいの?」

「俺も読んでみたいしな」

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